演題

RS2-58-6-1

術前化学療法後の食道癌切除例における予後予測因子

[演者] 黒河内 喬範:1
[著者] 渡邊 雅之:1, 峯 真司:1, 山下 公太郎:1, 岡村 明彦:1, 速水 克:1, 今村 裕:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

術前[F1] 化学療法後の食道癌切除例における予後予測因子
Prognostic factor after neoadjuvant chemotherapy for esophageal cancer

【背景】
本邦における胸部食道癌Stage II/IIIの標準治療は術前[F2] [F3] [F4] 化学療法後の食道切除であるが,化学療法の治療効果と予後の関連は明らかでない.今回,原発巣の組織学的治療効果およびリンパ節転移の遺残と予後の関連を明らかにすることを目的とした.


【対象および方法】
当院では2010年からcStage II/IIIの食道扁平上皮癌症例を対象に5-FU/CDDPによる術前化学療法を導入した.2007年から2012年までの胸部食道扁平上皮癌Stage II/IIIのうち,手術先行群134例,術前化学療法を完遂し手術を施行したNAC群142例を対象とした.両群を腫瘍部位,cTNMを因子としたPropensity scoreを用いてマッチングした各群110例について原発巣の組織学的治療効果および組織学的リンパ節転移度と予後の関連を検討した.
【結果】
NAC群の治療効果はGrade1aが75例,1bが14例,2が12例,3が8例であった.病理学的所見において,手術先行群と術前化学療法群間で比較すると,T因子に関しては有意にdown stagingを認めた(P=0.0005)が,pN0症例は手術先行群25%に対してNAC群で35%であったもののN stageに有意差は認めなかった(P=0.10).原発巣の組織学的治療効果別に予後を検討すると,Grade2-3,Grade1b症例はGrade 1a症例,手術先行群と比し有意に予後良好であった(P=0.0006).病理学的リンパ節度別にみると,ypN0,ypN1症例では,ypN2,ypN3症例に比べ有意に予後良好であった(P<0.0001).原発巣の治療効果,組織学的リンパ節転移度を合わせて予後を解析すると,Grade1b-3かつypN0-1群の3年,5年無再発生存率がともに92.9%, Grade1aかつypN0-1群が64.3 %,56.5%であったのに対して,ypN2-3群は35.9%,33.1%であった (P<0.0001).
【結語】
術前化学療法の施行により,原発巣の深達度は有意にdown stagingを認めた.原発巣の組織学的治療効果と病理学的リンパ節転移度の組み合わせは術前化学療法後の食道切除例の予後予測に有用と考えられた.
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