演題

RS2-89-14-6

癌専門施設におけるSSIサーベイランスの現況とSSI発生危険因子の検討

[演者] 中山 祐次郎:1,2
[著者] 渡辺 多美:2, 高雄 美里:1, 河村 英恭:1, 中野 大輔:1, 山口 達郎:1, 松本 寛:1, 高橋 慶一:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科, 2:がん・感染症センター都立駒込病院 ICT

【背景】
下部消化管手術において,SSI(Surgical site infection;手術部位感染)発生率は結腸で12.0%,直腸で14.7% (2015年度)と高い発生率が報告されている(1)
【目的】
当院の院内感染対策チーム(Infection Control Team;ICT)によるSSIサーベイランスの結果を検討する.また,SSI発生率の改善に寄与した因子について後方視的に解析し,当院におけるSSI発生危険因子を検討する.
【方法と対象】
当院ICTが行った直近2回のSSIサーベイランス結果を比較する.対象は当院大腸外科で全身麻酔下に結腸・直腸切除を行った症例とし,人工肛門造設・閉鎖術は除外した.SSI判定基準は米国疾病予防管理センターの定義(Ver. 1.2)を用いた.SSI判定は診療録からの拾い上げに加え,感染管理看護師を含むICTによる月2回の回診参加及び担当医との情報共有により行った.
【結果】
まず,前期(n=360,2011年11月から一年間)と後期(n= 357,2015年9月から一年間)を比較した.背景因子について,有意に異なっていたのは開腹/腹腔鏡(p<0.001, Fisher's exact test, 以下同じ),閉創方法(真皮埋没縫合/その他) (p<0.001),4時間以上での追加抗生剤投与の有無(p<0.001),創部ドレッシング法(被覆材/ガーゼ)(p<0.001),創培養提出数(p<0.001)であり,差がない因子は年齢,性別,結腸/直腸,ストマ造設の有無,リスクインデックス(以下RI),出血量だった.
SSI発生までの日数の中央値は5日(範囲 1-26)だった.SSI発生率について,前期→後期では22.5%→13.4%であり,結腸手術では15.5%→9.9%,直腸手術では40.3%→19.3%であった.また,開腹方法別では開腹手術は30.8%→20.4%,腹腔鏡手術は10.9%→9.1%であった.標準化感染比は,2011年は結腸で1.47→0.95,直腸で2.63→1.34と改善していた(指標値は厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業2011年年報より).
次に,後期の症例のみでSSI発生危険因子を検討した.単変量解析では性別(p=0.041),直腸手術(p<0.001),開腹手術(p=0.004),RI≧1(p=0.004),手術時間≧300分(p<0.001),出血量(p<0.001),1か月以内の喫煙有(p=0.004)が有意となり,これらで多変量解析を行うと,直腸手術(p<0.001),手術時間≧300分 (p=0.025)が独立した危険因子となった.
【結語】SSIサーベイランスについて,2回を比較し検討した.また,SSI発生危険因子を検討した.

(1) 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業 SSI部門 JANIS(一般向け)期報・年報より
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