演題

RS2-89-14-2

胃癌手術における術中腹腔内洗浄量が術後腹腔内膿瘍発生に与える効果の検討

[演者] 中出 裕士:1
[著者] 右田 和寛:1, 松本 壮平:1, 若月 幸平:1, 伊藤 眞廣:1, 國重 智裕:1, 中谷 充宏:1, 北野 睦子:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【目的】消化器外科領域手術において腹腔内感染性合併症は重大な術後合併症の一つである.我々はこれまでに胃癌術後1日目(POD1) での腹腔ドレーン排液の細菌培養陽性が腹腔内膿瘍発生の危険因子となることを報告してきた.POD1に検出される細菌は術中汚染に由来すると考え,以後閉腹前の腹腔内洗浄量を従来の3倍にした.今回,術中洗浄量が術後腹腔内膿瘍発生に与える影響を検討した.
【対象と方法】2012年1月から2016年11月までに当科で胃癌に対し胃切除を施行し腹腔ドレーンを留置した患者を対象に(縫合不全を併発した患者は除外)252例を対照群とし,術中大量洗浄を行った115例を介入群とした.POD1にドレーン排液の細菌培養を施行,ドレーンからの肉眼的膿性排液もしくはCTでの膿瘍形成を腹腔内膿瘍とした.【結果】POD1細菌培養陽性率は対照群6.3%,介入群4.3% (p=0.629),また,胃全摘術,開腹手術はそれぞれ幽門側胃切除術,腹腔鏡手術に比べPOD1培養陽性率が有意に高率であった(p=0.17,p=0.023).腹腔内膿瘍発生率は対照群3.6%,介入群5.2% (p=0.57)といずれも変化はなかった.POD1細菌培養陽性/陰性患者の腹腔内膿瘍発生率は対照群18.8%/3.0%,介入群40%/3.6%であった.全患者で腹腔内膿瘍と関連する因子を検討したところ,単変量解析では他臓器合併切除,POD1細菌培養陽性,複数ドレーン留置,併存疾患として糖尿病を有すること,術前化学療法施行,POD1の排液AMY720U/L以上が抽出された.全患者での多変量解析の結果,腹腔内膿瘍の危険因子はPOD1培養陽性(p=0.04),POD1の排液AMY720U/L以上(p=0.03),併存疾患として糖尿病を有すること(p=0.017)であった.
【結語】腹腔内洗浄量を増量しても術後腹腔内膿瘍は減少しなかった.POD1 培養陽性とPOD1の排液AMY高値が腹腔内膿瘍発生に深く関与する結果であった.
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