演題

SY04-6

グラフト選択法とレシピエントの好中球リンパ球比,リンパ球単球比に注目した生体肝移植の成績向上戦略

[演者] 吉住 朋晴:1
[著者] 伊藤 心二:1, 本村 貴志:1, 原田 昇:1, 播本 憲史:1, 長津 明久:1, 間野 洋平:1, 池上 徹:1, 副島 雄二:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【はじめに】我々はこれまでに適切なグラフト選択,脾臓摘出,術中胸腔ドレーン留置,早期経腸栄養開始などが生体肝移植の成績改善に有用である事を報告して来た.当科におけるグラフト選択法の工夫について検証し,レシピエントの白血球分画が移植後成績に及ぼす影響について検討した.【対象】初回成人間生体肝移植535例.用いたグラフトは拡大左葉グラフト282例,右葉グラフト225例,左葉グラフト16例,後区域グラフト9例,拡大右葉グラフト3例.平均GV/SLV 41.6%,平均GRWR 0.80%,平均ドナー年齢37.1歳,平均MELD16.1.脾臓摘出は可及的に併施した.【方法】1.短期予後予測:術前に入手可能なGV/SLV,ドナー年齢,MELD値,シャントの有無を用い予後予測値を計算した.予測値1.15以上(n=488)と未満(n=43)の2群で移植後6ヶ月グラフト生存率を比較した.2.好中球リンパ球比(NLR)と予後:NLR4.7以上(n=135)と未満(n=368)の2群で移植後6ヶ月グラフト生存率と10年グラフト生存率を比較した.3.リンパ球単球比(LMR)と予後:LMR1.8以上(n=374)と未満(n=128)の2群で移植後6ヶ月グラフト生存率と10年グラフト生存率を比較した.【結果】1.短期予後予測:予測値1.15以上群の6ヶ月グラフト生存率は92.5%で未満群の81.4%より良好であった(P=0.008).2.NLRと予後:NLR4.7以上群の6ヶ月グラフト生存率は85.2%で未満群の93.5%より不良であった(P=0.003).また,NLR4.7以上群の10年グラフト生存率は60.8%で未満群の76.6%より不良であった(P=0.003).3.LMRと予後:LMR1.8以上群の6ヶ月グラフト生存率は94.4%で未満群の82.8%より良好であった(P<0.0001).また,LMR1.8以上群の10年グラフト生存率は76.8%で未満群の60.1%より良好であった(P<0.0001).予測値1.15以上, NLR4.7未満, LMR 1.8以上を良好因子とし,良好因子数0-3で4群に分類した.良好因子数3群(n=310)の6ヶ月グラフト生存率95.5%に比し,良好因子数0群(n=12)では,75%と有意に不良であった(P<0.0001).【まとめ】これまでのグラフト選択法に加え,慢性炎症,免疫能などを表すレシピエントの好中球リンパ球比,リンパ球単球比に注目する事で,生体肝移植後の成績は更に改善する事が示唆された.
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