演題

RS2-87-14-6

肝胆膵手術における真皮縫合による創閉鎖の有用性

[演者] 大久保 悟志:1
[著者] 後藤田 直人:1, 鈴木 敏之:1, 森末 遼:1, 工藤 雅史:1, 相澤 栄俊:1, 高橋 大五郎:1, 杉本 元一:1, 高橋 進一郎:1, 小西 大:1
1:国立がん研究センター東病院 肝胆膵外科

【はじめに】消化器外科手術の閉創時に真皮縫合を施行する施設が増えてきているが,肝胆膵手術においては真皮縫合の有用性は未だ明らかではない.今回,我々は肝胆膵外科手術において,真皮縫合を含めた創感染発生に関するリスク因子について検討した.
【対象および方法】2013年5月から2015年12月までに当科で施行した肝胆膵開腹手術症例435例を対象とした.創感染発生リスク因子について患者因子,術前・術中因子を用いて検討した.創感染はCDCによるsuperficial incisional surgical site infectionの定義に従った.
【結果】435例中,内訳は肝切除182例,膵切除219例で70歳以上206例(47%),男性285例(66%),BMI 25以上70例(16%),術前Alb低値(≲3.5g/dl)50例(11%),糖尿病合併110例(25%),術前喫煙例53例(12%),術前減黄施行116例(27%),術前化学放射線療法施行14例(3%)であった.周術期因子として,正中切開のみ324例(74%),消化管吻合あり252例(58%),血管合併切除44例(10%),真皮縫合249例(57%),長時間手術症例(≥480min) 45例(10%),出血多量例(≥1000ml) 79例(18%),赤血球輸血施行48例(11%),術後予防的抗生剤使用284例(65%)であった.創感染は27例(6%) に認め,各因子の単変量および多変量解析にて術前化学放射線療法施行例(HR: 8.02,P<0.01)は有意に創感染リスクが高く,真皮縫合施行例は(HR: 0.17,P<0.01)は有意に創感染のリスクが低かった.層別解析として術式別に真皮縫合の創感染リスクを検討したところ,肝部分切除など消化管吻合を伴わない肝切除例(10/139例: 7%)および膵頭十二指腸切除術など消化管吻合を伴う膵切除例(12/181: 7%)では,真皮縫合は有意に創感染発生を軽減したが,肝門部胆管癌など消化管吻合を伴う肝切除例(4/43例: 9%)または膵体尾部切除など消化管吻合を伴わない膵切除例(1/38例: 3%)は,創感染発生に閉創法による有意差を認めなかった.
【結語】閉創法としてステイプラーに比べ真皮縫合は有意に創感染のリスクを下げることから肝胆膵手術においても真皮縫合による閉創が有用であると考えられた.消化管吻合を伴う肝切除例や膵体尾部切除例では症例数が少なく詳細な検討が困難であり,術式別では今後も症例を蓄積したリスク因子の検討が必要と考える.
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