演題

RS2-87-14-5

SSIサーベイランスにおける肝胆膵手術手技分類の細分化の提案

[演者] 市田 晃佑:1
[著者] 野田 弘志:1, 渡部 文昭:1, 兼田 裕司:1, 吉沢 あゆは:1, 齊藤 正昭:1, 辻仲 眞康:1, 宮倉 安幸:1, 清崎 浩一:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

【背景】厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)によるSSIサーベイランスにおいて,特に肝胆膵領域の手術手技分類の細分化方法については多くの問題点がある.現行,BILI-L(胆道再建を伴わない肝切除),BILI-PD(膵頭十二指腸切除),BILI-O(その他の肝胆膵手術)の3群に分類しているが,BILI-Oには数多くの種類の術式が混在しており,術式ごとのSSI発生率も一定ではない.また手術時間,創の清潔度,ASA分類で規定されるリスクインデックス(RI)はSSI発生リスクを反映するとされるが,BILI-Oにおいてはその正確性に乏しい.これはBILI-Oに混在している手術時間の長い症例がRIを引き上げていることが原因の一つと考えられる.本研究ではBILI-OにおけるRIの正確性を是正することを目的に,現行の手術手技分類に必要不可欠な細分化について検討した.
【方法】2014年1月から2016年6月までに当科で施行した245例の肝胆膵領域の手術症例を対象とした.BILI-L,BILI-PD,BILI-Oにはそれぞれ101,71,73例が分類された.BILI-Oにおいては新たな分類を提案し,それによるRIの再評価を行った.
【結果と考察】BILI-Oにおいて,手術操作ごとの規定手術時間超過率は,肝切除,膵切除,胆道再建(胆管空腸吻合),膵空腸吻合の中で,肝切除および胆道再建の手術操作が手術時間超過の独立した危険因子であった(肝切除:HR 39.7,95%CI 3.47-454.4,p=0.003,胆道再建:HR 11.6,95%CI 1.85-72.4,p=0.009).この結果は,いずれの手術操作も含む「胆道再建を伴う肝切除」がBILI-Oにおける手術時間超過による不正確なRI引き上げの要因であることを示唆する.よって,BILI-Oを「胆道再建を伴う肝切除(BILI-exL)」と「その他(BILI-O')」に細分化し,再検討した.BILI-exLはBILI-O'と比較して有意に手術時間が長く(p<0.001),この細分化でRIの再評価を行うと,BILI-O'においてRIはSSI発生リスクをより正確に反映した.
【結論】BILI-Oのうち,「胆道再建を伴う肝切除」を別分類とすることで,「その他の肝胆膵手術」においてもRIがより正確にSSI発生リスクを反映することができる.
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