演題

RS2-87-14-4

肝切除後のCRP値による臓器体腔SSIの早期予測の検討

[演者] 安田 里司:1
[著者] 野見 武男:1, 北東 大督:1, 川口 千尋:1, 吉川 高宏:1, 石岡 興平:1, 山田 高嗣:1, 赤堀 高宏:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学

【目的】臓器体腔SSIは肝切除後の約10%に発症する主要な合併症であり,時に重篤化するため早期の診断・治療が重要である.今回我々は肝切除後の臓器体腔SSIのリスク因子の同定,ならびに術後CRP値による早期予測の可能性につき検討した. 【方法】2008年から2015年に施行した胆道再建を伴わない肝切除を対象とした. (1) 臓器体腔SSIの有無で2群に分けリスク因子を検討. (2) 術後早期のCRP値と臓器体腔SSIの関連を検討. (3)リスク因子による臓器体腔SSIの早期予測を検討.【結果】症例は441例.疾患は肝細胞癌260例 (58.9%),肝内胆管癌21例 (4.8%),転移性肝癌134例 (30.4%),その他26例 (5.9%).臓器体腔SSIは55例 (12.5%)に認め発症日の中央値は9日 (1-57)であった. (1) 臓器体腔SSIのリスク因子: 単変量解析にて術前CRP高値 (≧0.2 mg/dl),手術時間, 出血量, RCC輸血, 胆汁漏に有意差を認めた. (2) 術後CRP値と臓器体腔SSIの関連: SSI群では対照群と比べてCRP値がPOD1, 2, 3, 5, 7のいずれの時点でも有意に高かった.また全症例におけるCRP値のピークはPOD3であったが,SSI群ではPOD3から5のCRP上昇が有意に多く見られた (21.8 vs. 4.9%, P <0.001).(3) リスク因子による臓器体腔SSIの早期予測: 術後CRP上昇をリスク因子に加え多変量解析を行うと術前CRP高値 (OR 2.50, P = 0.006),RCC輸血 (OR 3.18, P = 0.001),胆汁漏 (OR 10.5, P <0.001),POD3から5のCRP上昇 (OR 4.19, P = 0.003) が臓器体腔SSIの独立したリスク因子であった. リスク因子の数が0, 1, 2, 3, 4因子でSSI発症率はそれぞれ2.4%, 12.5%, 36.7%, 53.8%, 100%で予測可能であった (P <0.0001).【結語】術前CRP高値,RCC輸血,胆汁漏を認める場合は臓器体腔SSIのリスクが高い.さらに術後3日目以降のCRP上昇は臓器体腔SSIを示唆し,より慎重な管理を要するものと思われた.
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