演題

RS1-6-6-6

炎症性腸疾患患者における術後MRSA保菌状態スクリーニング

[演者] 高橋 佳子:1
[著者] 竹末 芳生:1, 内野 基:1,2, 池内 浩基:1,2
1:兵庫医科大学病院, 2:兵庫医科大学医学部 下部消化管外科

【目的】術後IBD手術患者を対象に,長期MRSA保菌状況とそのリスク因子について検討した.【方法】2009年9月~2011年8月に手術を実施したIBD患者のうち,A群:鼻腔PCR検査にて術前MRSA陽性,B群:術前陰性から術後陽性転化(MRSA獲得)の症例を対象とした.鼻腔保菌はPCRにて判定した.なお,A, B群では除菌(ムピロシン軟膏鼻腔塗布,クロルヘキシジン石鹸によるシャワー浴5日間)によりPCR陰性化した症例も含め検討を行った.2015年9月~2016年3月にfollow-upのPCR検査を実施した.長期MRSA保菌のリスクとして,性別,年齢,保菌状態 (A,B群),合併症,慢性皮膚疾患の有無,その後の入院,手術歴,長期(≧6か月)抗菌薬(回腸嚢炎),生物学的製剤,胃酸分泌抑制剤の使用など13項目について調査した.【結果】対象93例中追跡可能であったのは50例で,A群21例(除菌後陰性化17例,陽性1例,検査非実施3例),B群 29例(各々10例,1例,18例)であった.退院日から再検査するまでの期間は1,811日(中央値)であり,長期follow-upでPCR陽性であったのは10例(20%)で,除菌後陰性化が証明された症例のうち再陽性化が10/27例(37.0%)に認められた.多変量解析した結果,年齢≧65歳 [オッズ比(OR):20.29,95%CI: 1.76-233.23),長期抗菌薬使用(OR: 15.6,95%CI: 1.27-191.65)がMRSA長期保菌のリスク因子であった.【結語】IBD患者において,術前からのMRSA保菌者だけでなく,術後の陽性転化例においても周術期に留まらず長期持続保菌が2割に認められた.また除菌によるPCR陰性化確認例において,退院後に高率にPCR再陽性化が証明され,除菌効果は一過性に留まった.IBD術前術後保菌患者におけるMRSA長期保菌のリスク因子は高齢,回腸嚢炎などによる長期抗菌薬使用であった.
詳細検索