演題

RS1-6-6-4

大腸癌周術期感染性合併症のバイオマーカーとしてのプレセプシンの有用性の検討

[演者] 志田 陽介:1
[著者] 山口 悟:1, 井原 啓佑:1, 横山 悠:1, 尾形 英生:1, 伊藤 淳:1, 中島 政信:1, 佐々木 欣郎:1, 土岡 丘:1, 加藤 広行:1
1:獨協医科大学医学部 第一外科学

【背景】近年,敗血症診断マーカーとしてプレセプシンが使用されるようになっている.これは,細菌が顆粒球等に貪食された際に同時に取り込まれる CD14 タンパクが分解産物として血中に放出されたものであり,鋭敏な感染のマーカーとして使用されている.そこで我々は,周術期合併症のバイオマーカーとしてプレセプシンが有用であるか否かについて検討した.
【対象・方法】2016年1月から2016年11月までに大腸癌の診断で予定手術を行い治癒切除が得られた72例を対象とした.術後1日目,3日目,5日目にプレセプシンとCRPの測定を行い,それらの値と術後感染性合併症について比較検討した.
【結果】平均年齢は66.9歳で,男性44例,女性28例であった.Stageは0が4例,Iが20例,IIが26例,IIIaが17例,IIIbが2例,術前加療により腫瘍が消失したものが3例であった.感染性合併症は,14例 (19.4%) に認められ,SSIが4例,縫合不全が4例,骨盤内膿瘍が3例に認められた.プレセプシンの上昇が1日でも認められたものは30例でそのうち合併症が認められたものは10例であった.プレセプシンは,感度71.4%,特異度65.6%,陽性的中度33.3%,陰性的中度90.5%なのに対し,CRP は感度100%,特異度0%,陽性的中度100%,陰性的中度0%であった.プレセプシンおよびCRPのROC曲線におけるAUC cut off値は,プレセプシンPOD1 0.67(214),POD3 0.677(246),POD5 0.712(319)であり,CRP POD1 0.49(6.22),POD3 0.754(6.34),POD5 0.778(10.34)であった.プレセプシンとCRPはともにPOD5のAUCが最大となったが,最大AUCを比較するとP=0.375と有意な差は認められなかった.感染性合併症を腹腔内膿瘍と縫合不全に限定し同様に解析した結果,プレセプシンとCRPともにPOD5がAUCの最大となり,比較したが,P=0.249と有意な差は認められなかった.
【考察】CRPは術後手術侵襲により全例で上昇していたため,周術期合併症の判断は困難であるのに対し,プレセプシンは特異度65.6% であり,上昇が認められた場合は何らかの合併症が存在することが示唆された.しかし,プレセプシンとCRPの最大AUCでの比較を行ったが統計学的有意差は認められず,感染性合併症に対する検査の有用性はプレセプシンとCRPは同程度であると思われた.
【結語】周術期合併症のバイオマーカーとしてのプレセプシンの有用性を検討したので報告した.
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