演題

RS1-6-6-3

人工肛門閉鎖時における環状皮膚縫合法の有用性についての検討

[演者] 坂本 良平:1
[著者] 愛洲 尚哉:1, 山下 兼史:1, 小島 大望:1, 米良 利之:1, 吉田 陽一郎:1, 長谷川 傑:1
1:福岡大学病院 消化器外科

【背景】人工肛門閉鎖術は一般に侵襲が低い手術とされているが,術後合併症発生率が高いことが報告されている.報告により頻度は異なるが2-40%とされ,そのほとんどがsurgical site infectionである.当科の2011年から2016年までのsurgical site infectionの頻度は20.1%であった.
【目的】人工肛門閉鎖における創感染を減らす試みとして,環状皮膚縫合法が有用と言われている.今回環状皮膚縫合法と単純閉鎖について,Clavian Dindo分類III以上の創部感染発生頻度を比較してその有用性を検討する.
【対象と方法】2011年から2016年までに人工肛門閉鎖術が施行された114例(単純閉鎖: 72例,環状皮膚縫合法: 42例)を対象とした.
抗菌薬は執刀30分前から1日2回,術後2日目までセフメタゾンを点滴投与した.手術手技,人工肛門周囲皮膚を切開し腸管を皮下組織から充分遊離してから人工肛門を一次的に縫合閉鎖する.閉鎖腸管を腹腔鏡もしくは開腹下に周囲より完全に剥離する.腸管は切除し再吻合する.単純縫合では,真皮埋没縫合にて単純閉鎖を行う.環状皮膚縫合法では,皮膚は2-0vicryl糸で直径1cmのドレナージ孔を作成し,環状皮膚縫合する.皮膚を再消毒後,オプサイトビジブルでの被覆もしくは創傷被覆剤としてPICO創傷治療システムを使用した.
【結果】手術時間は,単純閉鎖: 146min .環状皮膚縫合法: 118minと有意差なし(P=0.086).出血量では, 単純閉鎖: 131ml .環状皮膚縫合法: 49.6mlと有意差なし(P=0.052).また,閉鎖を行った人工肛門の部位に関しては, 単純閉鎖では,回腸: 30例(41.6%).結腸: 42例(58.4%).環状皮膚縫合法では,回腸: 13例(31%).結腸: 29例(69%)であり両群の閉鎖した人工肛門の部位に関しては差がなかった(P=0.133).
Clavian Dindo分類III以上の創部感染は,単純閉鎖が21例 28.7%.環状皮膚縫合法で,2例4.7%であり,環状皮膚縫合法が優位に低かった(P=0.001).
環状皮膚縫合法の創傷処置については術後7日間浸出液が多く頻回に創傷被覆剤を交換する必要があった.ただし,PICO創傷治療システムを使用すると3日目には浸出液がなく,創部もdryに管理することができ創傷管理も容易であった.
【結語】
人工肛門閉鎖において,環状皮膚縫合は術後創部感染リスクを低下する可能性がある.環状皮膚縫合後の創処置は比較的頻回に行う必要性があるが,PICO創傷治療システムによって創管理の簡便化を計ることができると思われた.
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