演題

RS1-6-6-1

直腸切断術後の会陰創感染に関与する因子の検討と感染対策の有効性

[演者] 井上 透:1
[著者] 日月 亜紀子:1, 村田 哲洋:1, 櫻井 克宣:1, 玉森 豊:1, 久保 尚士:1, 永原 央:2, 前田 清:2, 西口 幸雄:1, 大平 雅一:2
1:大阪市立総合医療センター 消化器外科, 2:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

【目的】当院では2005年より約1000例の直腸癌症例に対して手術部位感染(以下SSI)サーベイランスを施行してきた.ガイドラインに準じ感染対策を施行し,直腸癌前方切除術のSSI発生率は約20%から8%まで低下したが,直腸切断術においてはいまだ高率である.直腸切断術における会陰創SSI発生に関与する因子の検討を行い,さらに対策の有効性について検討した.【方法】当院での会陰創SSI予防策は,手術当日・翌日のみの抗生剤投与,術中3時間毎の手袋交換,標本摘出後の骨盤腔の温生食洗浄(約2000ml)と閉創時における皮下洗浄,清潔器具の使用,モノフィラメント吸収糸による真皮埋没結節縫合,血糖コントロールチームによる周術期血糖管理などを行ってきた.2010年~2014年に直腸切断術を施行した直腸癌症例54例を対象として会陰創感染に関与する因子の検討を行った.その結果を受け2015年からは骨盤腔洗浄の生食量を5000mlとし,抗菌縫合糸の使用を開始し,骨盤腔内へのドレーン挿入は腹腔内からのみとした.その対策の結果も示す.【結果】54例中,会陰創SSIは20例(37%)に認められた.平均出血量は感染症例で高い傾向であり,輸血に関しては感染症例で有意に多かった.平均手術時間は感染症例で343分,非感染症例で304分で有意に感染症例で長かったが,術式における差は認めなかった.会陰部から骨盤腔へのドレーン挿入は27例中17例(63%)にSSIを生じており,有意に高かった.ドレーンの抜去時期に関しては感染症例で約12日,非感染症例で8日と非感染症例で早めに抜去している傾向が認められた.年齢,性別,腫瘍の壁深達度,平均腫瘍径,進行度,糖尿病の有無,喫煙の有無,腸閉塞の有無に関しては差を認めなかった.術前放射線化学療法を施行した症例は60%に感染が認められた.感染対策を施行した2015年以降の症例20例の会陰創SSI発生率は4例(20%)と低下が認められた.【結論】直腸切断術における会陰創SSI発生率は高値であり,感染の危険因子としては輸血,手術時間,会陰創からの骨盤内ドレーン挿入,ドレーンの抜去時期が関与していた.術前治療については症例数が少ないが,感染の危険因子となる可能性が示された.術後在院日数の比較は感染症例で14日間の延長となっており,感染対策の必要性が強く認められた.【考察】直腸切断術におけるSSI発生率は周術期における対策により改善しつつあるが,さらなる対策が必要と考えられた.
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