演題

SY04-4

左肝グラフトを用いた成人間生体部分肝移植ードナー安全性の向上とSmall-for-size graft症候群回避のために

[演者] 赤松 延久:1
[著者] 伊藤 大介:1, 冨樫 順一:1, 金子 順一:1, 有田 淳一:1, 阪本 良弘:1, 長谷川 潔:1, 田村 純人:1, 國土 典宏:1
1:東京大学大学院 人工臓器・移植外科学

【背景】諸外国では成人間生体部分肝移植においては右肝グラフトがルーチンであるが,ドナーの安全性からは切除容積の少ない左肝グラフトがベターである.
【方法】教室では,レシピエント標準肝容積(SLV)の40%を下限目安として左肝グラフトが第一選択である.
【結果】ドナー検討:術後の血清ビリルビン値は左肝ドナーの方が有意に低値であった(1.2±0.2 vs 1.9±0.4, p<0.001).III度の合併症は左肝15例(8%),右肝23例(9%)で差を認めなかった.
レシピエント検討:左肝グラフト症例(169例)と右肝グラフト症例(255例)の比較では,アウトカムに差を認めなかった.次にSLV40%未満を過小グラフト群(101例)として40%以上の群(348例)と比較したところ,過小グラフト群では左肝使用の割合が有意に高い(78% vs33%, p<0.001)が,アウトカムに差を認めなかった.Small-for-size graft症候群の頻度は1%(1/101),0.6%(2/348)で差を認めなかった.過小グラフト群でのIIIb以上の合併症に対する多変量解析ではMELDスコア(p=0.008)と手術時間(p=0,002)が抽出され,MELD16点,手術時間14時間をカットオフとしてスコア化すると,90日累積合併症率は0点,1点,2点でそれぞれ12%,26%,50%(p<0.001)と層別化される.さらにSLV40%未満の左肝グラフト症例を,SLV35%以上40%未満50例とSLV35%未満23例に群分けした比較検討においてもアウトカムに差を認めなかった.
【結語】術後ビリルビン値の結果からは左肝ドナーのほうが肝不全のリスクが軽減されることが類推される.SLV35%前後の左肝グラフトの使用は,レシピエント・ドナー双方の安全安心の観点から許容される.

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