演題

RS3-129-9-5

消化管癌切除後の再発と栄養因子の関連

[演者] 藤井 美緒:1
[著者] 蒲原 行雄:1, 山口 峻:1, 黒島 直樹:1, 井上 諭:1, 東 尚:1
1:長崎県島原病院 外科

【目的】小野寺らの予後推定栄養指数(prognostic nutritional index:PNI)は,栄養状態の指標としても広く用いられる血中アルブミン(alb)値と総リンパ球数のみで決定され,栄養療法介入の基準や術後合併症の発生予測法として利用されてきた.今回消化管癌(胃癌,結腸癌)患者における再発と栄養因子との関係を検討した.
【対象】2008年4月~2014年3月までの期間に,胃癌あるいは結腸癌に対して根治的切除を行い,その後2年間以上の追跡がなされている症例228例(胃癌;150例,結腸癌;78例)を対象とした.
【方法】胃癌群と結腸癌群で,年齢,性別,白血球数,白血球中リンパ球割合,総リンパ球数,好中球/リンパ球比(neutrophil/lymphocyte ratio: N/L 比),血中alb値,PNI,CEA値,CA19-9値,T因子,リンパ節転移,静脈侵襲,癌臨床病期について比較した.さらにそれぞれの群で,2年以内に再発したものを胃癌再発群(n=42)/結腸癌再発群(n=10),無再発症例を胃癌無再発群(n=108)/結腸癌無再発群(n=68)として,上記因子について検討した.
【結果】①胃癌群と結腸癌群の比較:白血球数およびN/L比は,胃癌において有意に低値(白血球数:胃癌;5975,結腸癌; 6749,p=0.02,N/L比:胃癌;2.82,結腸癌;3.43,p=0.04)であった.またT因子は結腸癌で高く,リンパ節転移は胃癌で多かった.②再発群と無再発群の比較:いずれの癌においても,再発群ではT因子・リンパ節転移・静脈侵襲・臨床病期がより進展した結果であった.胃癌再発群では,無再発群に比して有意に高齢,リンパ球割合低値,alb・PNI低値,腫瘍マーカー高値であった.結腸癌再発群では有意にN/L比高値であった.③胃癌再発群と結腸癌再発群の比較: 栄養状態を反映するalb・PNIはいずれも胃癌再発群で低値であった(alb:胃癌再発群;3.67,結腸癌再発群;4.17,PNI:胃癌再発群;44.1,結腸癌再発群;49.6).リンパ節転移は胃癌再発群でより高頻度であり,臨床病期は結腸癌再発群でより進行していた.T因子,静脈侵襲は両再発群間で有意差を認めなかった.
【考察】胃癌と結腸癌で,それぞれの担癌患者の栄養状態には大きな差異はなかった.しかし胃癌再発群は無再発群と比較して低栄養状態であり,また結腸癌再発群と比較しても胃癌再発群の方が栄養因子の悪化が顕著であった.胃癌術後の患者において術前の栄養状態が不良であることは,術後早期の再発リスクが高い可能性が示唆された.
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