演題

RS3-129-9-3

サルコペニア症例に対する術前栄養療法・リハビリテーションの効果

[演者] 塚越 真梨子:1,2
[著者] 新木 健一郎:1,2, 山中 崇弘:1,2, 石井 範洋:1,2, 五十嵐 隆通:1, 渡辺 亮:1,2, 久保 憲生:1,2, 和田 直樹:3, 桑野 博行:2, 調 憲:1
1:群馬大学大学院 肝胆膵外科学, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学, 3:群馬大学大学院 リハビリテーション医学

【背景】肝切除,膵切除は他の消化器癌手術と比較して未だに合併症発生率の高い術式である.術後合併症の危険因子として近年サルコペニア(骨格筋減少症)が注目されている.今回,肝切除,膵切除を行う症例においてサルコペニアの有無を評価し,術前の栄養療法,リハビリテーションの意義を検討した.【対象と方法】肝,膵切除を施行した肝胆膵疾患82例(2016年1月~10月)において,CTにて第3腰椎レベルの骨格筋面積を測定し,サルコペニアの有無を評価した(カットオフ値:男性43.75 cm2/m2,女性 41.10 cm2/m2).初診時および手術直前に栄養指標評価を行い,サルコペニアとの関連を検討.術前栄養(BCAA投与を中心とした補助栄養n=23),運動療法(筋力増強運動,有酸素運動を含むリハビリテーションn=14)施行による栄養指標(Prognostic nutritional index:PNI,modified Glasgow Prognostic Score;mGPS)の変化を検討し,サルコペニア症例における効果を検証した.【結果】男性49例,女性33例で平均年齢は66歳.疾患は悪性腫瘍76例(肝細胞癌21例,転移性肝癌27例,胆道癌9,膵癌13例,その他6例),良性疾患6例.サルコペニアは47例(57%)であり,サルコペニア群で有意に女性が多く(P=0.001)BMIが低値(P=0.002).サルコペニアの有無と,アルブミン値,PNI,mGPSに差なし.全症例中,栄養療法施行群でmGPSは有意に改善(P=0.002),PNIは改善の傾向(P=0.062).術前リハビリテーション群でもmGPSは有意に改善(P=0.004).サルコペニアの47例で検討すると,栄養療法施行群でmGPS,PNIは有意に改善し(P=0.016, 0.0005),リハビリテーション併用群でさらに効果を認めた(P=0.002, P<0.0001).一方,非サルコペニア症例では術前リハビリテーション栄養による栄養指標の改善は認めなかった.【結語】肝胆膵疾患の周術期にサルコペニア症例が多いが,術前の栄養療法,リハビリテーションにより栄養指標が改善した.術前にサルコペニアを判定し,適切な栄養療法とリハビリテーションを行うことで,今後手術の安全性の向上や合併症の軽減が期待される.
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