演題

SY04-3

膵グラフト長期生着に影響を与える因子の検討 -本邦膵臓移植の長期成績向上を目指して-

[演者] 伊藤 泰平:1
[著者] 剣持 敬:1, 會田 直弘:1, 伊藤 壽記:2
1:藤田保健衛生大学 移植・再生医学, 2:大阪大学大学院 総合医療学寄付講座

【目的】
本邦の膵臓移植の移植膵グラフトの長期生着に影響する背景因子を明らかにすることで,さらなる膵臓移植成績の向上を図り,移植を要する1型糖尿病患者のQOL,生命予後の改善を目指す.
【方法】
2004年4月から2015年12月末までに施行された膵臓移植246例のうち,周術期手術合併症によって移植膵グラフト廃絶した13例を除く233例を対象とし,後方視的にCox比例ハザード回帰とKaplan-Meier法を用い,膵グラフト生着について検討した.
【結果】
膵腎同時移植(SPK,n=188)では,単変量解析でレシピエントの糖尿病歴(ハザード比:1.064,P=0.02477),透析歴(ハザード比:1.078,P=0.03656)の2つが有意な危険因子として抽出された.多変量解析では,糖尿病歴のみが独立した因子として膵グラフト生着に影響を与えることが分かった.ROC曲線からcut off値は37.0年で,糖尿病歴37.0年以上を有する場合,膵グラフト生着率が有意に不良であることが示された(log-rank,P=1.96×10-8).一方,腎移植後膵臓移植および膵単独移植(PT,n=45)では,単変量,多変量解析においても,HLA-Aのミスマッチ数(ハザード比:2.153,P= 0.03101)のみが有意な危険因子として抽出された.膵グラフト生存率はHLA-Aミスマッチ数が多いほど膵グラフトの予後は不良で,特に2ミスマッチでは4/5例(80.0%)が膵グラフト廃絶しており,5年生着例もなく非常に予後不良であった.PT群では拒絶のエピソードを有すると膵グラフト生着率が有意に不良で(P=3.95×10-7),15/17例(88.2%)で膵グラフトが廃絶,5年生着例は1例しかなく,長期成績に強く影響していた.しかし,有意差はないものの,T-cell depleting抗体の導入により拒絶合併の減少,膵グラフト生着率の改善する傾向が認められた.
【結論】
膵グラフト長期生着の観点から,SPKではできるだけ糖尿病歴の短いうちの移植が望まれる.一方,PT群では免疫学的因子が膵グラフト生着に強く影響しており,レシピエント選択におけるHLA-Aのマッチングの考慮や,T-cell depleting抗体の導入が成績改善につながることが示唆された.
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