演題情報

特別講演

開催回
第62回・2017年・横浜
 

2025年及びそれ以降の日本の医療と透析診療

演題番号 : SL-9

古川 俊治:1

1:参議院議員

 

2015 年10 月1 日現在,我が国の高齢化率は26.7%となっており,今後も更なる高齢化の進行が推計されている.その一方,財政状況は逼迫しており,一般会計の35.3%(2017 年度予算)を公債金に依存し,国と地方の長期債務残高は1035 兆円(2017 年度末, 対GDP 比205%)に達する見込みである.そのため,増加を続ける社会保障費,特に対GDP 比での伸びが大きい医療・介護に要する費用を如何に抑えるかが,国の最重要課題の1 つとなっている.既に,2016 年度から2018 年度までの3年間で社会保障費の伸びを1.5 兆円程度(年間5000 億円程度)に抑える方針が決定しており,2016 年度には,診療報酬改定におけるマイナス改定等により年間社会保障費の1700 億円の引き下げが,2017 年度には,高額療養費制度における患者の自己負担限度額の引き上げ等により年間社会保障費の1400 億円の引き下げが行われた.今後,2018 年度の診療報酬・介護報酬の同時改定や,それ以降の診療報酬改定・介護報酬改定においても引き下げが予測される.
政策の主たる方向性としては,①生活習慣病対策・運動器疾患対策などの疾病予防・介護予防の推進,②医療機関の機能分化と連携の推進による,地域医療における医療資源の効率的な活用,③在宅医療・在宅介護の推進による医療費・介護費の抑制,④基金制度や地方事業への移行等による地域毎の自主的取り組みの強化,⑤公的保険による給付対象の見直しと,患者・利用者自己負担の拡大等が挙げられる.
慢性透析患者数は,2015 年度末で約32 万5000 人(毎年4000 人強の増加)と推計されており,透析診療に要する医療費は1兆5000 億円を超え(2014 年度),総医療費の約4%に達すると考えられる.今後は,慢性腎臓病の基礎疾患である糖尿病や高血圧等の生活習慣病の予防と早期発見・介入による悪化の防止,腹膜透析や在宅血液透析の普及による在宅透析の推進等により,透析関連医療費の伸びの抑制を図る必要がある.本年度より高額医薬品の公的保険における償還価格算定に関して,いわゆるQuality-adjusted life year 等の費用対効果の検討が開始となるが,費用対効果の議論は,医薬品に留まらず,透析診療を含む診療行為についても必要と考える.ADL が低下した高齢の末期腎不全患者に対する透析診療導入の是非等について,患者本人の意思確認の推進やチーム医療での治療方法の選択決定プロセスを含め,議論を進めなければならない.

前へ戻る