演題情報

特別講演

開催回
第62回・2017年・横浜
 

AMEDのミッション:研究開発の隘路解消に向けて

演題番号 : SL-6

末松 誠:1

1:国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長

 

AMED の使命は,3 つのLIFE(生命・生活・人生)を包含する医療研究開発の推進によって,一分一秒でも早く研究成果を社会実装につなげることにある.これまで3 省庁に計上されてきた医療分野の研究開発に関する予算を集約して基礎から実用化まで一貫した研究マネジメントを行うとともに,限られた事業費を効果的に運用する制度への変更を推進してきた.AMED は発足して最初のリーディングプロジェクトの一つとして「未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」を立ち上げた.数ある医療研究領域からこの領域に着手した背景には,従来の医療研究開発の多くの課題を改革する糸口が多く存在し,大学改革の課題も包含していることが挙げられる.真の産官学連携を加速するためには大学の意識改革が必要であり,IRUD における課題解決は他の研究領域への大きな波及効果が期待できる.なかでもデータシェアリングは領域を超えて解決すべき重要な課題の一つであり,今後,人類の脅威である多剤耐性菌のサーベイランスなど,Big data を活用した医療研究開発にはデータ入力者へのインセンティブ,リアルタイムのデータ更新,明確な目的設定や国際連携が重要であることは論を待たない.Sinet-5 のような学術用高速情報ネットワークの国内での活用,倫理委員会の経験値を異なる大学間で共有し中央化するCentral IRBの構築なども喫緊の課題であり,このような課題への取り組みは医療研究開発の推進にも繋がるものと考える.またAMED では実用化に重点を置いた研究開発を重視する一方で,ヒトの臨床データの詳細な分析から得られる新たな研究仮説を拾い上げ,基礎研究にフィードするいわゆるreverse translational research の活性化が重要と考えている.日本には世界にも誇れる非常に質の高い基礎研究が多い.斬新な基礎研究をどのように医療研究開発に繋いでいくか,他のagency から創出される新しい科学技術を睨みつつ,AMED 自身も基礎研究を応援するとともに,臨床研究から発想される新たな基礎研究の領域が生まれる好循環を構築していく必要がある.講演では機構が取り組んでいる施策について現況を概説するとともに,今後の展望と課題について論じたい.

前へ戻る