演題情報

特別講演

開催回
第62回・2017年・横浜
 

腎臓病克服への挑戦~日本腎臓学会の取り組み~

演題番号 : SL-1

柏原 直樹:1

1:一般社団法人日本腎臓学会理事長

 

我が国における腎臓病患者は年々増加傾向にあり,国民の死因の第8位を占め,平成26 年末には約32 万人が透析療法を余儀なくされている.慢性腎臓病CKD の有病率は成人の約10%と推計されている.その成因には生活習慣病と加齢が関与しており,この後も増加することが危惧される.透析に至った原因疾患は糖尿病が43.5%と第一位であり,糖尿病患者の急増,高齢化の進展を背景として糖尿病性腎症が増加している.糖尿病性腎症の発症予防,重症化抑制法の構築が喫緊の課題であると認識されて久しい.
日本腎臓学会(JSN)はこの状況を打開すべく,各種ガイドライン・診療マニュアル(CKD 診療ガイド,ガイドライン等)を策定・改訂してきた.AMED 腎疾患実用化事業等の支援を受け,ガイドライン,レジストリー構築も行っている.しかしながら,診療レベル均霑化・標準治療普及は十分とは言いがたい.患者指導・診療支援の具体的実効策の開発が強く求められている.
一方,JSN は日本医療情報学会(JAMI)と共同し,厚生労働省臨床効果データベース事業として,新規全国規模の包括的CKD 臨床効果情報データベース(J-CKD-DB)の構築に着手した.CKD はeGFR 60mL/ 分/1.73 m2未満,あるいはタンパク尿(+)で定義され,糖尿病性腎症も当然含有される.SS-Mix2 を活用し,電子カルテ情報(Electronic Health Records:EHR)からCKD 該当例のデータ(患者基本情報,処方,検査値等)を自動抽出しDB 化するものである.今年度末までに20-30 万人規模のDB が構築される予定である.
腎臓病の発症予防,重症化抑制を実現するためには,多職種による包括的な取り組みが有効であることも示されている.腎臓病療養指導士制度を立ち上げ,腎臓病診療の裾野を拡大したいと考えている.
CKD,腎不全は全身疾患である.有効な対策立案のためには,関連する学会が連携することも重要である.日本透析医学会と腎臓学会との緊密な連携が中核をなすことは言うまでもない.本講演では,腎臓病克服を目標とした様々な取り組みについて紹介したい.

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