演題情報

シンポジウム

開催回
第60回・2015年・横浜
 

CKD-MBDとうっ血性心不全

演題番号 : SY-01-1

常喜 信彦:1、林 俊秀:1

1:東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科

 

身体の代謝需要に応じて適切に心拍出量が規定できる事が正常な心機能の条件である。この心機能を決定する因子とCKD-MBDはどのようにかかわり、ひいては心機能障害につながるのであろうか。
【収縮能の障害】
心筋細胞障害が心収縮能を低下させうる根源であることは言うまでもない。例えば最もポピュラーな心筋障害の原因である心筋の虚血はCKD-MBDの代表的合併症である血管石灰化により容易におこしうる。弾性血管の石灰化は心拡張期の冠動脈血流量を減少させる。体液・体重管理不良や非適切なHb値は心仕事量を増やし、双方が合わされば心筋酸素需給の破綻から心筋虚血を起こしうる。多くの患者が潜在的に心筋虚血を起こしやすい状況にある。
【後負荷の増大】
細動脈に石灰化が起これば、末梢血管抵抗の増大を招く。後負荷が増大することを意味する。臨床的には高い収縮期血圧として反映される。心室が充満した血液を駆出する際に打ち勝たねばならない抵抗が増大することを意味しており、心機能に大きく影響を及ぼす。またこの状況の長期化は心筋重量の増加を招くことで、心筋障害の一因ともなりうる。心筋重量の増加は拡張能も損なうことを忘れてはならない。
【過剰な前負荷?】
動脈の平滑筋に石灰化が起こるのであれば、静脈に石灰化が起こっても不思議ではない。血液の約2/3は静脈血であり、血行動態が破綻するような危機的状況の時に動員する目的で、特に腹腔内臓器の容量血管にプールされている。もし仮にそういった容量血管(静脈)も石灰化を来し、容量血管としての機能が損なわれているとしたら、常に過剰な前負荷がかかり続ける状況となる。後負荷が増大し、かつ収縮能が障害されている心臓にとってはかなり不利な状況である。
【心拍数】
心臓突然死を来した透析患者の症例報告をみると、刺激電動系への石灰化に起因する徐脈性不整脈が原因と考察しているものが散見される。心拍数は心拍出量を規定する重要な因子である。
心筋が障害されやすく、かつ心臓に血液がシフトしやすい状況、これがCKD-MBD管理不良によりもたらされる心臓の特徴なのかもしれない。

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