演題情報

特別講演

開催回
第60回・2015年・横浜
 

新しい専門医制度

演題番号 : SL-5

池田 康夫:1

1:日本専門医機構理事長,早稲田大学特命教授

 

厚生労働省「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告を受けて、平成26年5月に一般社団法人「日本専門医機構」が設立され、新たな専門医制度構築に向けたスタートが切られた。 本講演では、その概要と今後の課題について述べる。
専門医制度改革の基本理念は (1) 専門医の質の一層の向上と患者にわかりやすい制度の確立 (2) 専門医認定・更新プロセスの透明性、公正性の確保 であり、その結果として、専門医が公の資格として国民に広く認知され、専門医へのインセンティブ賦与にも繋がるものと考えている。
新専門医制度の骨格は (1) 専門医の認定は中立的第三者機関としての「日本専門医機構」が行う (2) 専門医制度の枠組みを基本領域とサブスペシャルティ領域とからなる2段階制とする  (3) 専門医の育成は研修プログラムに従って行い,「日本専門医機構」は研修プログラムの評価・認定と研修施設のサイトビジットを行う (4) 総合診療専門医を新たに基本領域専門医として位置づけることである。
従って「日本専門医機構」の大きな2つのミッションとしては、
(1) 専門医の認定・更新  (2) 研修プログラム・研修施設の評価・認定/研修施設のサイトビジットであり、これは米国におけるAmerican Board of Medical Specialty (ABMS) と Accreditation Council of Graduate Medical Education (ACGME) がそれぞれ担う機能と同様であるが、残念ながらその規模においてABMS, ACGME とは比べものにならない。
「日本専門医機構」は日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議が設立時社員となり、その後四病院団体協議会、基本診療領域学会等が社員として加わり、プロフェッショナルオートノミーで運営される組織として設立された。
専門医とは「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」を意味するのではなく、それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼され標準的な医療を提供出来る医師と定義される。それぞれの診療領域専門医が持つべきコンピテンシーを明示し、患者にわかりやすい医師像を示す事が求められる。専門医認定のプロセスが明示され、ピュアレビューに裏付けられて認定を行う事ではじめて社会からの信頼を勝ち取る事が出来る。
基本領域の専門医と異なり、サブスペシャルティ領域の専門医は次の要件を満たす事が望まれる。 (1) 連携する基本領域専門医資格との関係の確認が出来ており,専門医としての医師像が明確である (2) 患者数,専門医数等を踏まえ、日常的に診療現場で確立し得る診療領域単位である (3) 専門医の認定・更新が十分な活動実績や適切な研修体制の確保を用件としている。などである。
現在、日本専門医機構では、新制度の開始の2017年4月に向けて、基本診療領域における専門医認定・更新、専門研修プログラムの整備指針の策定に取り組んでいるが、それと並行して機構内に「未承認領域連絡協議会」を設け、サブスペシャルティ領域学会の専門医制度の位置づけについての議論を進めている。

前へ戻る