演題情報

特別講演

開催回
第60回・2015年・横浜
 

統計調査から見た腎性貧血治療ガイドラインの歴史と役割

演題番号 : SL-1-2

椿原 美治:1

1:滋慶医療科学大学院大学

 

1990年、透析患者にrHuEPOが使用可能となると同時に大半の患者に投与され、患者への恩恵はもちろん、透析医療自体が一変した。
90年代後半には欧米のガイドラインが公表される中で、我が国でも必要性が認識され、日本透析医学会が中心となり、2001年3月に最初の作成ワーキンググループ(WG)会合が開催され、実に3年半を掛け、2004年9月に完成した。日本透析医学会が作成した最初のガイドラインである。
本ガイドラインの対象は慢性血液透析患者のみであり、「慢性血液透析患者における腎性貧血治療のガイドライン」(下条文武委員長)として公表された。時間を要した主因は、エビデンスの不足であった。このためWG自体が統計調査委員会などの協力を得て、使用に足るエビデンスの作成を行うと言う変則的な手法を取らざるを得なかった。
また保存期患者(ND)やPD患者、小児患者は含まれていない事から、2005年12月には私が委員長を拝命し、透析医学会のみならず、腎臓学会、腹膜透析研究会、小児腎臓学会を代表する委員を含めた第二次WGが組織され、約3年を費やし、2008年10月に「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」が完成した。この間にはrHuEPOの包括化、NDを対象とした大規模ランダム化比較試験の報告、新規ESA製剤の出現、開発治験時のエビデンスの公表など様々な経緯があり完成が遅れた。現在、2012年に組織された第三次WGが改訂に当たっているが、同様に約3年を要し本年中に完成の見込みである。
一方、統計調査から腎性貧血治療の変遷を見ると、Hb値や鉄指標の推移など、実臨床に及ぼすガイドラインの影響の大きさが判る。
本講演では、これらの影響を概説し、ガイドライン改定の必要性や方向性に関して私見を述べる。

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