発表

2D-082

PMDDおよび月経痛とDetached Mindfulnessとの関連

[責任発表者] 大村 安寿弥:1
[連名発表者] 伊與田 万実#:1, [連名発表者] 今井 千鶴子:2, [連名発表者] 今井 正司:1
1:名古屋学芸大学, 2:チャームポイントLab.

目 的
月経前不快気分障害(PMDD)とは、著しい抑うつ気分、不安、持続的な易怒性、情緒不安定、活動に関する興味の減退を基本的な特徴とし、1年間のほとんどの黄体期で定期的に表れる精神障害であり、DSM-5においては「抑うつ障害群」に含まれている。PMDDの精神的要因に関する先行知見においては、PMDD傾向者の症状は自らの症状に目を向けやすい私的自己意識との関連性が指摘されており、その私的自己意識は不安により増強されていることも指摘されている(藤井,2010)。本研究では、PMDDの増悪要因として想定できる月経痛やその不安症状や、PMDDの緩衝要因として想定できる注意制御機能やマインドフルネス機能との関連性について予備的検討することを目的とした。

方 法
1. 調査対象と手続き
東海圏の大学に在籍する女子大学生237名を対象に質問紙調査を一斉に調査した(有効回答220名)。調査に際しては、回答は任意であること、学業成績に影響しないこと、調査で得られる情報は統計的に処理され、外部に個人情報が漏れることはないことを明示するなどの倫理的配慮のもと行われた(本研究は名古屋学芸大学研究倫理委員会の審査と承認を得て行われた;倫理番号173)。なお、公表すべき利益相反関係はない。
2. 調査材料
M-PVAQ尺度(Menstrual Pain Vigilance and Awareness Questionnaire;今井ら, 2008)、PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder)評価尺度(秋元ら, 2009)、STAI 特性版(State Trait Anxiety Inventory 日本語版;中里・水口,1981)、VACS(能動的注意制御尺度;今井ら,2015)、DMMS (Detached Mindfulness Mode Scale ;今井ら, 2012)を用い、月経痛に関してはVAS(Visual Analogue Scale;Keel,1948)を用いた。

結 果
各変数間における相関分析を実施した。月経関連症状間の関連性を検討した結果、VASとSTAIとの間に有意な相関は示されなかったが、VASとM-PVAQおよびPMDDにおいては有意な正の相関が示された。PMDDおよびM-PVAQは、STAIと有意な正の相関を示した。M-PVAQとPMDDとの間には有意な正の相関が示された。
緩衝要因として想定されてたDMMSとVACSは、STAIと有意な負の相関を示したが、VASとは有意な相関を示さなかった。また、DMMSはM-PVAQおよびPMDDとの間において有意な負の相関を示したが、VACSはM-PVAQとは有意な相関を示さず、PMDDとは有意な負の相関を示した。

考 察
本研究の結果から、主観的な月経痛(VAS)は特性不安(STAI)とは関連せず、月経痛への注意(M-PVAQ)やPMDDと関連することが示された。また、主観的な月経痛(VAS)は、注意制御機能(VACS)やマインドフルネス(DMMS)とは関連しないことが示された。しかしながら、これらの介入要因(注意制御機能/マインドフルネス)は、PMDDと関連することが示された。本研究結果について考えると、特性不安が強い者は月経痛への注意が強くすることで月経痛を増強させ、その痛みなどがPMDDの原因となっていることが考えられる。しかしながら、マインドフルネスの基盤に注意制御が関与していることなど(今井, 2017)をふまえて、本研究の結果について検討すると、注意訓練やDetached Mindfulnessの介入をこれらの症状に適用することは、月経痛そのものを緩和することはなくてもPMDDやそのプロセスにおいて効果が得られることを示唆することができる。
本研究で得られた月経関連症状の知見は、痛みそのものの緩和ではなく、痛みに伴う心理症状を対象としているマインドフルネス認知療法の効果知見とも共通性があり、臨床的にも意義がある。今後は、これらの因果関係を介入研究などによって明らかにすることが期待される。
(OMURA A., IYODA M., IMAI C., & IMAI S.)

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