発表

2D-079

保育学生における就業自己イメージが保育系職業の選択に与える影響

[責任発表者] 佐藤 那美:1
1:白百合女子大学

目 的
大学生における職業選択の研究において清水・下斗米・風間(2003,2005)は、就業後に自己が置かれる状況や周囲の環境から受け取るであろう影響を就業前に予期したイメージを“就業自己イメージ”とし、就業自己イメージ尺度を作成している。職業選択の際、自己概念や自己効力感のみならず、就業後の自己の生活ぶりや、自己の姿など周囲から受ける影響などを予想し、検討した上でより適切と判断した職業を選択することが十分想定され(清水ら,2005)、保育学生もまた同様に、学びの中で保育現場に就職した自分を想像し、どのような姿で仕事をしているのか思い描き、職業選択につなげているのではないかと考えられる。そのため、本研究では保育学生の就業自己イメージが保育系の職業選択に及ぼす影響を調べることを目的とする。
方 法
調査者協力者
関東圏内私立大学に通う女子大学生計132名のうち、回答に不備のなかった129名を分析対象とした。
手続き
 2016年12月授業内で一斉配布式により実施した。
質問紙
 希望就職先を問う設問、清水ら(2005)により作成された「大学生の就業自己イメージ尺度」65項目から構成された。希望就職先は、保育現場への就職を見据え幼稚園、保育園、こども園、施設、それ以外とした。なお選択肢の中の「それ以外」とは、保育現場以外の職業を想定し設けた。「大学生の就業自己イメージ」とは男子と女子とで構成因子が異なり、女子では「独自性」「競争性」「自閉性」「自己高揚性」「拘束性」「支配性」「融和性」の7因子から構成されていた。本研究では7因子を使用し、65項目7件法により回答を求めた。質問紙の中では「自身が保育現場に就職した場合を想像」して答えるよう指示をした。統計的分析にはSPSS(Version 19)に加えて,清水(2016)によるHAD(Version 15.106)を用いた。
倫理的配慮
 調査にあたり、その目的と分析方法、データの保管や公表の方法、回答が任意性であること、また匿名であることなどについて説明を行った。
結 果
まず先行研究にならい、主因子法(プロマックス回転)を行った。その結果、先行研究とは異なり6因子構造となった。因子構造については一部先行研究を支持する項目内容であった(因子名はTable1を参照)。その後、各因子得点を説明変数、希望就職先を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、幼稚園、保育園共に、「主導・尊敬性」因子が有意な影響を及ぼしていた。また、その他には「自己実現性」因子が有意な影響を及ぼしていた。
考 察
保育学生の就業自己イメージが保育系職業の選択に影響を与えるのか明らかにすることを目的とし検討を行った。まず、幼稚園と保育園は共に「主導・尊敬性」因子が有意な影響を及ぼしていたことから、保育現場で働くことが主導的になれ、尊敬を集められそうというイメージがあるものほど、幼稚園や保育園への就職を希望することが示唆された。次に、その他(保育現場以外の職種を希望)へは「自己実現性」因子が有意な影響を及ぼしていたことから、保育現場で働くことは自身の自己実現につながりそうとイメージしているものほど、保育現場以外の就職先を希望する事が示唆された。このことは、実際に保育現場で働くことは、自己実現につながるかもしれないが、実際はそう簡単な仕事ではないと考えているか、さらに就きたい職業が他にあったため、保育現場以外の職種に就職を希望していたのかもしれない。
引用文献
清水 裕士 (2016).フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践における利用方法の提案  メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 59-73.
清水 祐・下斗米 淳・風間 文明(2003).大学生の就業自己イメージの構造 昭和女子大学生活心理研究所紀要,5,1-12.
清水 祐・下斗米 淳・風間 文明(2005).大学生の就業自己イメージ尺度の試み 社会心理学研究,20(3),191-200.

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