発表

2D-068

青年期後期の「ヨコ」の関係における関係性・自律性欲求へのサポート—親子関係と比較して—

[責任発表者] 肖 雨知:1
[連名発表者] 外山 美樹:1
1:筑波大学

目 的 これまでの研究では,養育者や教師から関係性・自律性欲求へのサポートを受領することは個人のパフォーマンスやウェルビーイングにおいて適応的な結果をもたらすことが明らかにされてきた(e.g., Chirkov & Ryan, 2001)。  しかし,青年期は心理的離乳の時期であり,これまで依存していた対象が,養育者から友人・恋人などへと移行していく時期にあたる。そのため,「タテ」の関係だけではない「ヨコ」の関係における関係性・自律性欲求へのサポートを検討する必要があると考えられる。そこで,本研究はその第一歩として,青年期後期において重要とされる5つの親しい他者との関係を取り上げ,母親,父親,同性友人,異性友人,恋人からの関係性・自律性欲求へのサポートの内容について探索的検討を行った。 方 法 調査対象・調査時期 2017年1月に関東圏内の国立大学1校及び専門学校1校の学生を対象として,無記名式の質問紙調査を行った。部分有効回答数は84名であった(内訳:男子30名,女子54名,平均年齢20.30歳,SD=3.32)。 質問紙の構成 1.フェイスシート:年齢,性別及び学年について尋ねた。2.これまで受領した(あるいは受領している)関係性・自律性欲求へのサポートの内容:相手とのつながりを感じた時の相手の行動及び態度,自分が自律的であると感じた時の相手の行動及び態度について,つながり及び自律性を説明した上で,各対象について自由記述を求めた。 結 果 合計回答数は関係性が305個,自律性が162個であり,その内の質問紙の目的から外れた回答は除外した。最終的に分類に用いた有効回答数は順に275個と120個であり,1つの対象における平均有効回答数は順に1.14個と0.50個であった。関係性の記述において,同性,異性友人に関するものが最も多く,平均1.40個であり,父親に関する記述が最も少なく,平均0.81個であった。自律性の記述において,母親,父親に関するものが最も多く,平均0.63個であり,異性友人に関するものが最も少なく,平均0.33個であった。  分類はKJ法を援用し,心理学専攻の大学院生2名とまずカテゴリーを作成した後,他の心理学専攻の大学院生3名によって再分類を行ってもらい,一致率κ係数はそれぞれ.84, .86であった。分類の結果をTable 1に示す(各対象に回答した協力者の人数はそれぞれ異なったので,度数ではなく,合計度数で割った値を示している。なお,母親・父親を「親」として,同性・異性友人を「友人」としての合計値を用いた)。 考 察 以上の結果により,親子関係のみならず,友人・恋人関係といったような「ヨコ」の関係においても関係性・自律性欲求へのサポートが存在し,また,親子関係におけるサポートの内容と完全に一致しているものではなかったことを示した。今後,親子関係を対象とした尺度を友人,恋人関係にそのまま適用するのではなく,新たな尺度を作成することが必要であろう。 引用文献 Chirkov, V. I., & Ryan, R. M. (2001). Parent and teacher autonomy‐support in Russian and US adolescents:Common effects on well−being and academic motivation.Journal of cross‐cultural psychology, 32, 618‐635.

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