発表

2C-040

サッカー・オフサイド判定における時間順序判断

[責任発表者] 田山 忠行:1
[連名発表者] 藤田 大地#:1
1:北海道大学

目 的

 スポーツ競技の審判の判断では,時間順序の判断が求められることが多い。それらの中でも,サッカーのオフサイド時の審判の時間順序の判断は,かなり難しい判断の1つと考えられる。本研究では,人がそのような時間順序判断に際して,どのような判断を下す傾向があるのか,また間違った判断は,どのような条件で生じやすいかなどを調べることを目的とした。これを調べるため,本研究では,サッカーのオフサイド時の状況をシミュレートした実験を行い,様々な条件で時間順序の判断がどのようになされるかについて検討を行った。

方 法

観察者 北海道大学の学生13名(男性8名,女性5名;平均年齢22.5歳)が参加した。
刺激及び装置 PC一式を刺激呈示装置及び反応測定装置として用いた。刺激は22インチモニター中央の16.8x8.4cmの長方形領域に呈示された。刺激は,黒い背景上に,白い2つの垂直線(1.6cm)が,モニターの中心から左右に4cm離れた位置から,左右いずれかの同じ方向に動いた(図1参照)。それらは,いずれも2つの静止した垂直線(1.3cm)の真ん中に配置された。最初は各々の3本の垂直線が1直線上にある状況で呈示が開始された(図1参照)。左右に運動する2つの垂直線の内の1つは標準刺激(SS)であり,もう1つは比較刺激(CS)であった。刺激の呈示時間は800m秒であった。観察距離は80cmであり,実験は暗室で行なわれた。
実験条件 運動方向条件として,SSとCSが共に右に動く場合,共に左に動く場合の2種類を設けた。進行方向に対してSSは常に前方の位置に,CSは常に後ろの位置に配置された。また,観察者が左右どちらかの方向に注意を向けるように,注視点の位置に呈示する矢印(<- ,->)を2種類設けた。CSがSSに対して運動を開始する時間差の条件として-120, -80, -40, 0, +40, +80, +120の7条件を設けた。ここで負の符号(-)は,CSがSSよりも早く動き出す条件であり,正の符号(+)は遅く動き出す条件であった。また速度条件として,CSとSSのそれぞれに2種類(0.75,1.5cm/s) を設けたので,合計4種類があった。従って,刺激条件は合計112種類であった。
手続き 各試行では,各観察者はまず警告音と共にモニター中央に注視点が呈示された。その後,すぐに注意を向ける方向を指示する矢印を1.5〜2.5秒のランダムな時間呈示し,その後,矢印を消すと共に,上の刺激が800秒間呈示された。観察者の課題は,呈示された2つの刺激の内,どちらが先に動いたかを2つの矢印キー(「<-」「->」)を押して反応した。その際の反応時間も計測された。各観察者は試行間インターバルの1秒が経過した後,次の試行に入った。以後この手続きを繰り返した。実験は上に示した112条件の試行をランダムな順に1回づつ行った。

図1 実験の手続き
(右と左のどちらが先に動いたかを判断する)

結果及び考察

 観察者のデータをプールして,各実験条件における進行方向に対して前方にある刺激であるSSを選択した率(以後ではSS選択率とする)をプロットしたものが図2である。左右の運動方向や注意の向きに関係なく,時間差が-10秒の条件でSS選択率が若干高くなっている。この結果は運動方向の前先にある刺激は先に動いたと選択される傾向があることを示している。これはオフサイドと判断されやすいことを意味している。また,速度条件の組み合わせの結果からは,速度が大きい刺激を選択する率が高いことも示されており,動きの速いとオフサイドと判断されやすいことを意味する。

図2 時間差の関数としてのSS選択率

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