発表

SL-003

ポストディクション(後付け再構成)と、意識的な「気づき」

[講演者] 下條 信輔:1, [司会者] 原口 雅浩:2
1:カリフォルニア工科大学, 2:久留米大学

「ポストディクション現象」とは、時間的に後で提示された刺激が前の刺激の知覚に因果的影響を及ぼす事態を指す(Shimojo, 2014)。逆向マスキングや仮現運動等はその古典的な例といえる。異なる感覚経路の間の処理時間差や、高次レベルから低次レベルへの再帰(reentry)などが、神経対応として考えられる。フラッシュ・ラグ効果や「視聴覚ラビット」現象などから、知覚の「気づき」もポストディクティヴな処理の産物であることがわかる。さらに時間スケールを広げて意思決定や短期・長期記憶にも、「表象の後付け書き換え」の痕跡があまねく認められる。そこで(時間スケールによって神経機構は異なるが)ポストディクションは、脳の認知機能の普遍原理と考えられる。計算論的にはベイズ推計で近似できる。さらに「自由な選択の感覚(sense of agency)」あるいは自由意思の主観経験にも、ポストディクションが決定的に関わることを示す。
詳細検索