発表

2C-019

一対比較を用いた不幸・不運の出来事分析

[責任発表者] 佐藤 栄晃:1
[連名発表者] 北村 英哉:1
1:関西大学

目 的
 他者に悪い出来事が降りかかったことを見聞きした際に、思わず快感情を感じてしまう。こういった感情はシャーデンフロイデ(Schadenfreude)と呼ばれている(Smith, 2013)。
この際に起こる悪い出来事については、過去の研究を見ると、bad fortune,misfortune,unhappyなどと記述されており、日本語では「不幸」と表現されることがある。しかし、同じく悪い出来事を表現する言葉として、「不運」という表現がある。
 佐藤・北村(2016)では、この不幸と不運について特徴比較を行った。不幸は、起きた責任が自身にある、コントロール性がある、持続時間が長い、心的ダメージが重い、といった特徴を持つ状態を表現することが多かった。それに比べ、不運は自身に責任がない、コントロール性がない、持続時間が短い、心的ダメージが軽い、といった特徴をもつ出来事を表現する傾向にあることが示された。しかし、悪い出来事を不幸・不運で分類したとしても、その出来事が一定の不幸・不運であるとはいえない。例えば、人が亡くなることと、電車の遅延することでは、同じ不幸だとしても同じ程度として扱うのには疑問が残る。
 そこで本研究では、不幸・不運の特徴比較を参考に自由記述で得られた出来事を分類し、各出来事がどの程度の不幸・不運であるかについて、一対比較法を用いた検討を行った。
方 法
調査対象 大学生185名(男性70名、女性115名) 平均年齢20.33歳(SD=0.87)
調査方法 調査には一対比較法を用いた。一対比較法とは、 評価する刺激の中から2つずつ1対1のペアを作り、全ての刺激対について特定の判断基準に基づき、どちらかの刺激を選択させる方法である。
本調査では、先行の刺激対が次回答に影響しないよう、Googleのアンケート作成サービス“Googleフォーム”を用いて、刺激対ごとにページが変わる設定で行った。 
不幸・不運の刺激については、自由記述をもとに各10項目の刺激を作成し、2項目ずつ「自身(他者)に起こるとして、以下のどちらの不幸(不運)が深刻であると思いますか」と回答を求めた。不幸10項目は、親しい人の死、事故に巻き込まれる、怪我をする、人間関係がうまくいかない、頭が悪い、お金がない、精神を病む、モテない、身体的に欠点がある、運がないであり、不運10項目は、電車の遅延、突然の雨、くじや抽選で外れる、病気になる、物をなくす、受験に落ちる、フラれる、こける、欲しいものが売り切れる、ブラックバイトで働く、であった。
結 果
 得られた回答を選択された選択率に変換し、さらに選択率をz値に標準化を行った。そして各z値の列平均を算出し尺度値とした。
不幸について深刻度高低間の尺度値は、自身-.85~.96、他者-1.02~1.02、不運の深刻度高低間の尺度値は、自身-.74~1.12、他者-.91~1.06であった。
不幸が自身・他者に起きた際の深刻度次元の尺度値についてはFigure1、不運が自身・他者に起きた際の深刻度次元の尺度値については、Figure2に示す。
考 察
本調査によって得られたこの尺度値は、今後実験等で使用する不幸・不運がどの程度の深刻度であるかを知る目安として使用できると考えられることからも、順序づけが示されたことは意義のある結果であったといえる。しかし、いくつかの項目が、不幸・不運、両方で捉えることができる出来事が混在している点については今後さらなる精査が必要である。深刻度だけではなく、その不幸・不運の発生要因として自身がどの程度影響を及ぼしたかといった視点などを取り入れることで、多次元的に検討することができると考えられる。
引用文献
Smith, R. H.(2013).The Joy of Pain Schadenfreudeand the Dark Side of Human Nature. New York:Oxford University Press.
佐藤栄晃・北村英哉(2016).不幸と不運の特徴比較 日本
パーソナリティ心理学会第25回大会発表論文集, 103

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