発表

2B-053

RPGタスクを用いたヒトの随伴性判断における過剰予期効果

[責任発表者] 永石 高敏:1
1:帝塚山大学

目的
 随伴性判断とは、「環境内の複数の事象間(手がかり刺激と結果事象など)の関係性」を判断することである。この随伴性判断は、動物を対象とした連合学習事態の実験の枠組みと共通しており、ヒトの連合学習のメカニズムを解明するための重要な試金石であると考えられる。これまでに、動物の連合学習事態で確認されている諸現象がヒトの随伴性判断においても数多く報告されている(e.g., Melchers, Lachnit, & Shanks, 2004; Nelson & Lamoureux, 2015)。しかし、過剰予期効果と呼ばれる現象については、ヒトの連合学習場面において、ほとんど報告されていない。過剰予期効果とは、2つの条件刺激(例えば、AとXという刺激を用い、Xを標的刺激とする)をそれぞれ単独で無条件刺激(US)と対提示した後、その2つのCSを複合刺激(AX)としてUSとさらに対提示すると、単独でUSと対提示後、複合提示処置をしなかった場合と比べて、Xに対する条件反応が減弱する現象である。
 そこで、本研究ではヒトの随伴性判断において、新しいタスク(ロールプレイングゲーム, RPG)を用いて、過剰予期効果が確認されるか否かを検討した。RPGとは、テレビゲーム機のゲームソフトのジャンルのひとつで、戦闘や謎解きを通して、キャラクターを成長させながらストーリーを進めるタイプのゲームである。最近では、このRPGをヒトの連合学習研究の新しいツールとして適応する試みがなされている(e.g., Nagaishi, 2013)。
方法
実験参加者:大学生21名であった。
実験装置:実験はPC画面上で行った。実験課題は、RPGツクールXP VALUE(エンターブレイン社製)で作成した随伴性判断課題を用いた。手がかり刺激(CS)はモンスター(画像+文字)、結果事象(US)は「宝箱の提示(画像+文字)」であった。課題の流れは、画面上のプレイヤーを操作して、マップ上に存在するモンスターと戦闘を行い、マップ上のすべてのモンスターを倒すというものであった。
手続き:Table 1は本研究の実験デザインを示している。各ア
ルファベットはモンスターの種類を表している。当該モンスターを倒すと宝箱を得られる場合は「+」、宝箱を得られない場合は「−」で示されている。また、カッコ内の数字は試行数を表している。Phase 1終了後、すぐにPhase 2に移行した(マップの移動により遂行)。 
 画面上のテキストで教示を提示してから練習試行(4試行)を行い、その後Phase 1を開始した。Phase 1では、A+試行、B+試行、C+試行、およびD−試行を行った。Phase 2では、AB+試行、EF++試行、およびG−試行を行った。「++試行」は、モンスターとの戦闘後に提示される宝箱の数が「+試行」の2倍となっていた。また、各刺激の提示順序はランダムであった。Phase 2終了後、Visual analog scaleを用いて、標的モンスターが宝箱を所持している程度を「0(宝箱が出てくる可能性が非常に低い)から10(宝箱が出てくる可能性が非常に高い)」の尺度で評定を行った。
結果および考察
 Figure 1は標的モンスターに対する平均評定値を表している。刺激B(過剰予期処置)は、刺激C(統制処置)の評定値よりも低いことがわかる。つまり、過剰予期効果が確認されたことを示している(t(20) = 2.29, p < .05)。
 以上の結果から、ヒトの連合学習場面において過剰予期効果が確認されたことを示しており、動物を対象にした連合学習事態における結果と一致する(e.g., Rescorla, 1970; Lattle & Nakajima, 1998)。よって、RPGタスク(随伴性判断)はヒトの連合学習研究における新しい有用なツールになり得ることを示唆している。

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