発表

2B-020

メディアにおける気分障害の報道 記事データベースによる検討

[責任発表者] 勝谷 紀子:1
[連名発表者] 坂本 真士:2
1:青山学院大学, 2:日本大学

目 的
 精神疾患に関する情報がさまざまなメデイアを通じて入手しやすくなった。特にうつ病を始めとする気分障害については、その特徴や対処方法だけでなく、サブタイプに関する様々な名称がメディアにおける記事にみられている。
 「新型うつ」に関する報道を検討した研究(勝谷・坂本, 2015, 2016)では、新型うつに関する報道が2007年から出現し2012年にピークとなったこと、専門家のコメントがある記事、専門家が書いた記事、原因や治療の解説記事は全体的に少ないことが示された。
本稿では、気分障害の疾患について新聞・雑誌記事の件数の検討を行う。この10年間で各疾患名に関する記事がどれだけ出現しているのか、その推移について比較検討する。
方 法
記事データベースとして日経テレコン21を使用した。検索の対象期間を2007年1月~2016年12月とした。気分障害に関する疾患名として、表1に示した語を用いた。検索対象として新聞および雑誌の記事とし、検索範囲を見出しのみ、検索方式は完全一致とした。
結 果
 見出しに各疾患名が含まれる記事件数は、うつ病、双極性障害、大うつ(病)、産後うつ(病)、新型うつ(病)、の順で多かった。うつ病については、「うつ病」の表記が最も多く、うつ病のサブタイプの中では産後うつ(病)が最も多かった。双極性障害については、一般に馴染みがあると考えられる「そううつ病」よりは「双極性障害」の表記が最も多かった。
 次に、記事件数が100件以上だった疾患名を対象として、この10年間の記事数の推移を疾患名ごとに検討した(表2)。異なる表記(うつ病、鬱病など)をまとめて疾患名による件数の違いを検討したところ、どの年でも「うつ病」が最も多く、2013年にピークとなり、その後減少傾向だった。ついで記事件数が多い「双極性障害」は、2010年から2011年に2倍以上に増加し、2012年にピークとなり、その後減少傾向となった。一方、「大うつ(病)」は、どの年も記事件数が0~5件であった。「産後うつ(病)」は、2010年以降10件台から20件台で推移していたが、2015年から2016年にかけて件数が8倍以上に増加した。「新型うつ(病)」は、2008年から増減を繰り返して2014年に件数がピークとなり、2016年にはピーク時の1/10以下に件数が減少した。
考 察
見出しに「うつ病」を含む記事が最も多く、ついで「双極性障害」と続いた。「うつ病」が単独で見出しに含まれる記事は2013年から減少傾向にあった。一方、「新型うつ(病)」「産後うつ(病)」といったサブタイプの記事が多く出現する年があった。今後は、記事数の推移に関与する要因、各疾患の記事内容の変遷をさらに詳しく検討する必要がある。
引 用 文 献
勝谷紀子・坂本真士 (2016) 「新型うつ」はどう報道されているか(1)新聞・雑誌記事の内容分析日本グループ・ダイナミックス学会第63回大会
勝谷紀子・坂本真士 (2015) マスメディアにおける「新型うつ」:記事データベースによる検討 日本社会心理学会第56回大会
本研究はJSPS科研費16H03741の助成を受けたものです。

詳細検索