発表

ITL-003

児童虐待からの再生—児童虐待は脳の成熟にどのように影響を与えるか—

[講演者] 内田 伸子:1, [司会者] 仲 真紀子:2
1:十文字学園女子大学特任教授/お茶の水女子大学名誉教授, 2:立命館大学

現代の子どもはきわめてストレスの高い状況におかれている。親の思うとおりに育てたいとわが子を早期教育に駆り立て、思い通りにならないとわが子に手をあげる。その一方で親自身も孤立しストレスを感じて家族の中の弱者、幼いわが子を虐待してしまう。どちらの親も子どもの発達を阻み子どもを支配するという点では同じである。このような歪んだ環境の中で心身ともに深く傷つきながらも、見事に立ち直り、発達を遂げていく子どもがいる。社会復帰の鍵は何であろうか?2人の養育放棄児の社会復帰の過程を20年以上追跡した成果に基づき、社会復帰への鍵は何かを明らかにする。発達初期の劣悪な養育環境は子どもの心身の発達に深刻なダメージを与えたが、担当保育士との愛着の成立以後キャッチアップが始まり、リテラシーの獲得は心身(脳)のダメージを克服できた。二人の社会復帰までの成長の姿は人間発達がいかに可塑性に富んでいるかを示唆している。
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