発表

2A-099

BGMがオフィスワーカーに及ぼす効果−オフィスをフィールドとするパイロットスタディ−

[責任発表者] 山崎 晃男:1
[連名発表者] 松本 茂雄#:2, [連名発表者] 池上 卓也#:2, [連名発表者] 森角 香奈子#:2
1:大阪樟蔭女子大学, 2:USEN

目 的
 これまでBGMは,環境に対する印象の操作・改善,消費行動への影響・介入,課題遂行の促進・妨害といった様々な観点から研究されてきたが,オフィスでのBGM使用に関する研究は多くない。しかし,現在BGMを導入しているオフィスは少なくなく,オフィスにおけるBGMの効果について実証的に検討することが求められている。その際,職場でのストレス低減が課題となっている現状を踏まえ,オフィスの印象やオフィスでの職務に及ぼすBGMの効果に加え,オフィスワーカーのストレスへの効果についても検討する必要があるだろう。
本研究は,BGMがオフィスワーカーに及ぼす効果について,実際のオフィスをフィールドとした調査を今後展開するためのパイロットスタディとして実施された。

方 法
 本研究では,BGMを操作したオフィスで働くワーカーを対象として,質問紙を用いたフィールド実験を行った。
実験場所:O大学の学生窓口を含むオフィス。
回答者:20~50代までの男女21名(女性19名,男性2名)。
実施期間:2017年2月20日から3月17日の4週間。
BGM:株式会社USENの既存チャンネルを用いて3種類の印象を与えるBGMのプログラム(時間帯によるオフィス空間への適合性を配慮した標準的BGM,静かで落ち着いた楽曲のみからなる鎮静的BGM,にぎやかで活気のある楽曲のみからなる覚醒的BGM)を作成した。実施期間の月曜から土曜までの1週間ずつ異なるプログラムのBGMを流した。ただし,第1週はBGMなしとし,続いて第2週は標準的BGM,第3週は鎮静的BGM,第4週は覚醒的BGMを9時から17時まで連続して流した。
質問紙:質問紙の主要部分は以下の内容から構成された。1.室内印象:17の形容詞対を用いたSD法(7件法)による室内印象の評定,2.ストレス:「職業性ストレス簡易調査票の簡略版」から「疲労感」「不安感」「抑うつ感」「食欲不振」「不眠」を評価する11項目,3.職務状況:「仕事がはかどった」「職場での会話がはずんだ」といった職務の遂行や職場でのコミュニケーションを問う8項目(6件法),4.BGM印象:16の形容詞対を用いたSD法(7件法)によるBGM印象の評定。ただし,BGMなしの第1週は4を含まなかった。
手続き:回答者は各BGM条件の下で勤務し,毎週金曜日の午後に質問紙に回答した。

結 果
 紙幅の都合上,質問紙の2と3のみについて報告する。
ストレス
 BGM条件ごとのストレス関連項目の平均値をFig. 1に示す。各項目とも得点が高いほど,項目名の状態が強いことを示す。
 項目別にBGM条件を被験者内要因とする分散分析を行った結果,「不安感」のみが1%水準で有意であった(F(3, 60)=7.589, p<0.01)。多重比較の結果,BGMなしとその他のBGM条件との間に有意差があった。

職務状況
 回答に対して因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行った結果,「コミュニケーション因子」「職務促進因子」「職務妨害因子」の3因子が抽出された。
 BGM条件別に因子ごとの平均値を算出したものをFig. 2に示す。いずれも,得点が高いほどその状態が強いことを示す。BGM条件を被験者内要因とする分散分析を行った結果,コミュニケーション因子に関してのみ有意差が得られた(F(3, 60)=3.096, p<0.05)。多重比較の結果,BGMなし条件と標準的BGM条件の間に有意傾向が見られた。

考 察
本研究では,BGMは「不安感」に有意な効果を及ぼし,BGMがある週はない週に比べて「不安感」が有意に低かった。また,BGMは職場でのコミュニケーションにも有意な効果を及ぼし,標準的BGMがかかっている週はBGMがない週に比べてコミュニケーションがうまくいく傾向が見られた。1つのオフィスでの特定の時期における限られた人数による結果ではあるが,BGMがオフィスワーカーのストレスやコミュニケーションに肯定的な影響を与える可能性を本研究は示唆している。今後,より広範な場でBGMの効果を検証していく必要があるだろう。

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