発表

2A-082

高齢者の主観的幸福感と老人イメージに関する研究 高齢者大学に通う高齢者の「老人イメージ」の分析

[責任発表者] 髙橋 一公:1
1:東京未来大学

目 的
 超高齢社会における社会参加、社会的活動、社会的役割、社会的統合は老後の適応や健康、ウェルビーイングと関連があることが老年学のなかで論じられてきた。また、サクセスフル・エイジングやプロダクティブ・エイジングの概念の中にも社会的貢献や社会的生産性による主観的幸福感の向上に関わる効果が期待されている。
 前回、高齢者大学で継続的に学習を実践している高齢者を対象に学習動機と主観的幸福感の関連について調査・分析を行った。その結果、高齢者の学習動機は、「まなぶこと」と「参加すること」(二次的利得)にまとめられ、この2つの動機がいずれも高い高齢者は「主観的幸福感」が高い傾向があることが導かれた。
 今回の研究で前回と同様に高齢者大学にて継続的に学習を実践している高齢者を対象に、主観的幸福度および「老人」という言葉から連想されるイメージについて調査・分析を行うことを目的とした。

方 法
1.対 象
 1年制あるいは2年制高齢者大学にて継続的な学習を行い、かつ有効な回答が得られた高齢者95名(男性52名 女性43名)。平均年齢は68.23歳、SDは4.04歳。
 現在、職業を持っていないと答えた高齢者は49名(51.6%)、専業主婦と答えた高齢者は23名(24.2%)であった。何らかの形態で仕事を続けている高齢者は23名(24.2%)であった。
2.調査方法
 配票調査方式で実施。
 調査項目は基本的な属性と学習参加動機に関する質問、およびLawtonの改訂版PGCモラルスケール、「老人」のイメージに関する自由記述からなる質問票を用いて個別に回答を求めた。回収は、各自投函していただくことを依頼し、郵便にて行った。

結 果
1.主観的幸福度(PGCモラルスケール)
 PGCモラルスケールの平均得点は12.83 (SD=3.84)であった。自発的に高齢者大学に参加している高齢者のためPGC モラルスケール尺度の標準的な平均点よりも高い傾向がみられた。
 今回、このPGC得点を用いて+0.5SD以上を高PGC群、-0.5SDを低PGC群、それ以外を中PGC群として設定をし(table 1)、平均値を求めたところ有意差がみられた(F=242.02 df=2,92 p<0.00)。
2.自由記述の計量テキスト分析
今回は「『老人』という“ことば”から連想されることを回答欄に自由にお書きください。」という質問に対する自由記述の回答を用いて計量的テキスト分析を行った。外部変数としてPGC得点による3つのグループを取り込み、PGC群と抽出語の関係を可視化することを試みた。
 PGC群を外部変数とした対応分析の結果、高PGC群では「自分」「考える」「老人」「今」「昔」「思う」などの抽出語と関係性がみられ、中PGC群では「人生」「人」「体力」「年寄り」「青春」「よい」などの抽出語と関係性が示された。低PGC群では「知識」「使う」「イメージ」「嫌い」「悲しい」「努力」などの抽出語との関係性が示された。またそれぞれの語彙の共起性を示した共起ネットワークではFig.1のようなノードの結びつきが示されている。

考 察
 継続的に学習を実践している高齢者は「老人」という“ことば”に対するイメージとして共通して「自分は老人とは思わない」という記述を行っていることが示されている。またPGC得点が高くなるにつれて「年齢は感じるが、自分は若く動くことができると思う」という活動的な側面を捉えるのに対して、PGC得点が低くなるにつれて「知識はあるが頑固で死に向かう人達のイメージ」という現実的でありながら否定的な側面を捉えている傾向があると思われ、主観的幸福感の高低が「老人」という“ことば”のイメージに影響を与えている可能性が示されている。

引用文献
Ikko TAKAHASHI 2016 Study on elderly people's learning motivation and subjective well-being. The 31th International Congress of Psychology. PS26P-01-8.
堀薫夫・福島順 2007 高齢者の社会参加活動と生涯学習の関連に関する一考察 −大阪府老人大学修了者を事例として− 大阪教育大学紀要第4部門 56,1, 101-112.

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