発表

1D-051

評定者と刺激の性別がチアリーダー効果に与える影響

[責任発表者] 服部 友里:1
[連名発表者] 渡邊 伸行:2, [連名発表者] 鈴木 敦命:1
1:名古屋大学, 2:金沢工業大学

目 的
Walker and Vul (2014)は,1人でいる人の顔よりも集団内にいる人の顔の方が,同じ顔であってもより魅力的に見えるというチアリーダー効果を報告した。Walker and Vul (2014)によれば,チアリーダー効果は,集団提示された個々の顔から瞬時に平均顔が計算され,計算された平均顔に近づいて個々の顔が符号化され,さらに,平均顔は魅力的であるため,起きると提案されている。
本実験の目的は,参加者の性別と顔写真の性別の組み合わせによって,チアリーダー効果の大きさに差があることを見ることであった。チアリーダー効果は,個々の顔の認識は曖昧でも,集団の平均顔の認識はできているときに起きやすいと考えた。そこで,女性は自身と同じ性別の顔認知に優れているという女性の同性バイアス(Herlitz & Lovén, 2013)や,女性の方が男性よりも顔認知に優れているという女性優位性(Bai et al., 2015)から,参加者の性別や顔写真の性別によってチアリーダー効果の大きさに差があると仮説を立てた。つまり,女性の参加者は,女性の顔よりも男性の顔の認識の方が曖昧になるため,男性の顔でチアリーダー効果の大きさが大きくなると予測し,また,男性の参加者は,女性の参加者よりも顔の認識が曖昧になるため,チアリーダー効果の大きさが大きくなると予測した。

方 法
参加者 71名の大学生(男性41名,平均年齢18.52歳)であった。
刺激 60名の顔写真(男性30名)を使用した。
実験計画 顔写真の提示枚数(1枚提示条件と3枚提示条件)と顔写真の性別を参加者内要因とし,参加者の性別を参加者間要因とする三要因混合計画であった。従属変数は魅力度評価値であった。
手続き 1枚提示条件では,ディスプレイ上に灰色の横長の長方形が0.5秒間提示された後,1枚の顔写真が画面の右,中央,左のいずれかに1.33秒間提示された。その後,魅力度評価をする画面に切り替わった。3枚提示条件では,ディスプレイ上に灰色の横長の長方形が0.5秒間提示された後,3枚の顔写真が1秒間提示され,さらに,魅力度評価をする顔写真の下に矢印が表示された状態で1秒間,3枚の顔写真が提示された。その後魅力度評価をする画面に切り替わった。3枚提示される顔写真は魅力度が同程度になるようにグルーピングした。魅力度評価はマウス移動で行ってもらい,0-100点に換算した。 

結 果
 魅力度評価値は参加者内で標準化した。参加者ごとに,3枚提示条件での顔写真の魅力度評価値の平均から1枚提示条件での顔写真の魅力度評価値の平均を引いたものをチアリーダー効果の大きさとし,図1に示した。t検定の結果,女性・男性の参加者共に,女性・男性の顔写真の両方で,チアリーダー効果の大きさの平均は0より有意に大きかった(all ps < 0.01)。次に,分散分析を行ったところ,参加者の性別と顔写真の性別の間に有意な交互作用がみられた(F (1,69)= 4.73, p = 0.03)。下位検定の結果,参加者が女性のとき,男性の顔写真の方が女性の顔写真よりもチアリーダー効果の大きさが大きかった(F (1,29) = 6.79, p = 0.01)。また,顔写真が男性のとき,女性の参加者の方が男性の参加者よりもチアリーダー効果の大きさが大きかった(F (1,69) = 6.18, p = 0.02)。


考 察
チアリーダー効果は参加者の性別と顔写真の性別によって大きさが異なることが示された。具体的には,女性の参加者は女性の顔より男性の顔でチアリーダー効果が大きかった。つまり,女性の参加者は,女性の同性バイアスにより男性の顔の認識が曖昧になり平均顔に近づいた顔を認識したためにチアリーダー効果が起きたと考えらえる。しかし,女性の参加者の方が男性の参加者よりもチアリーダー効果が小さくはならなかった。理由として,女性の参加者は,個々の顔認識だけでなく集団の平均顔認識も優れているため平均顔に近づいた顔を認識してしまったと考えられる(Bai et al., 2015)。

引用文献
Bai, Y., Leib, A. Y., Puri, A. M., Whitney, D., & Peng, K. (2015). Gender differences in crowd perception. Frontiers in Psychology, 6, Article 1300.
Herlitz, A., & Lovén, J. (2013). Sex differences and the own-gender bias in face recognition: a meta-analytic review. Visual Cognition, 21, 1306-1336.
Walker, D., & Vul, E. (2014). Hierarchical encoding makes individuals in a group seem more attractive. Psychological Science, 25, 230-235.

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