発表

1D-018

好感度と能力の評価が恋愛感情に及ぼす影響

[責任発表者] 小野 由莉花:1
[連名発表者] 鈴木 直人:1
1:同志社大学

目 的
 Rubin(1970)は,恋人と友人に対する感情を区別するためにlove-liking尺度を開発したが,恋人の評価においては,恋人に対する感情を測るlove尺度の得点だけでなく,友人に対する感情を測るliking尺度の得点も高くなることが報告されている。
Sprecher(1998)によれば,望ましい人柄やずば抜けた特性は,対人魅力を規定する重要な要因である。よってliking尺度を構成する好感や能力についての評価は,一般的な他者関係だけでなく,恋愛感情にもつながる可能性が考えられる。
このような仮説を検証するために,本研究では,初対面の異性に対する好感度と能力が,恋愛感情に及ぼす影響を検討するシナリオ実験を実施した。

方 法
 参加者と実験デザイン 大学生133名(女性75名,男性58名; 平均年齢20.49歳(SD=2.21))は,2(好感度:高vs.低)×2(能力:高 vs.低)の4条件に無作為に割り当てられた。
 手続き 参加者は割り当てられたシナリオを読み,その後質問に答えるように求められた。
好感度の操作 林さんはあたたかみのある態度で自己紹介をし,顔を見てうなずきながら,あなたの自己紹介を聞いていました(好感度高条件)。林さんは冷めた態度で自己紹介をし,顔から目を反らしてつまらなそうに,あなたの自己紹介を聞いていました(好感度低条件)。
能力の操作 続いてバーベキューの準備に取り掛かりました。林さんはグループ内で最も手際がよく,あっという間に支度を整えました(能力高条件)。林さんはグループ内で最も手際が悪く,ほとんど何もしていませんでした (能力低条件)。
対人評定 シナリオに登場した林さんに対して,好感度(「好感がもてる」),能力(「能力がある」),恋愛感情の3要素:「また会いたい」「力になりたい」「独占したい」の各項目について,1(全くそうでない)から9(とてもそうである)までの9件法で評定するように求めた。

結果と考察

 操作チェック 実験操作の妥当性を検討するために,好感度の評定得点,ならびに能力の評定得点を条件間で比較した。その結果,好感度高条件(M=5.90, SD=2.16)では,好感度低条件(M=3.09, SD=1.75)と比較して,好感度の評定得点が有意に高かった(t(131)=8.18, p<.001)。また,能力高条件(M=7.29, SD=1.08)では,能力低条件(M=2.76, SD=1.78)と比較して,能力の評定得点が有意に高かった(t(131)=14.47, p<.001)。よって,好感度,ならびに能力の実験操作は共に成功していると考えられた。
好感度と能力の評価が恋愛感情に及ぼす影響 好感度と能力の評価の高さが恋愛感情に及ぼす影響を検討するために,love尺度の3要素である「また会いたい」,「力になりたい」,「独占したい」の各評定得点について,2好感度×2能力の分散分析を行った(Figure1)。その結果,「また会いたい」,「力になりたい」,「独占したい」のいずれの得点においても好感度の主効果,ならびに能力の主効果が有意であり(p<.01),好感度高条件(順にM=5.13, SD=2.17, M=5.90, SD=2.16, M=3.24, SD=2.06)では好感度低条件(順にM=3.02, SD=1.85, M=3.29, SD=1.80, M=1.92, SD=1.38)と比較して,能力高条件(順にM=4.90, SD=2.26, M=5.06, SD=2.29, M=3.14, SD=1.93)では,能力低条件(順にM=3.34, SD=2.04, M=4.19, SD=2.39, M=3.20, SD=1.79)と比較して,評定得点が高かった。
さらに,「独占したい」の評定得点においては,2好感度×2能力の交互作用が有意であり(F(1,3)=5.26, p<.05),好感度高条件では,能力の単純主効果が有意であり,能力高条件(M=4.28, SD=0.30)では,能力低条件(M=2.45, SD=0.27)と比較して,評定得点が高かった。好感度低条件においては,能力の単純主効果は有意でなかった(F(1,129)=1.67, ns.)。
これらの結果は,好感度と能力の高さが恋愛感情を導くとする,本研究の仮説と整合するものである。好感度は,愛情の三角理論(Sternberg, 1986)においても重要な基盤のひとつであると考えられており,本研究の知見は,恋愛感情が好意の上に成立するという考えと一致している。また,本研究では,恋人と友人の区別において特に重要であると考えられる,「独占したい」という恋愛感情の要素において,好感度が能力の評価の効果を増幅させる可能性が示唆された。好感度が恋愛を導く仕組みについて考えるうえで,重要な知見であるといえるだろう。

引用文献
Rubin, Z.(1970). Measurement of romantic love. Journal of Personality and Social Psychology, 16, 265-273.
Sprecher, S.(1998). Insiders’ perspective on reasons for attraction to close other. Social Psychology quarterly, 61, 287-300
Sternberg, R. J.(1986). A triangular of love. Psychological Review, 93, 119-135

詳細検索