発表

1C-096

困り感を抱えるギフテッドチャイルドの実際と支援の方法ー親の視点から描くギフテッドチャイルドの姿ー

[責任発表者] 森寺 亜伊子:1
[連名発表者] 木谷 秀勝#:2
1:産業医科大学, 2:山口大学

目 的
 日本国内に居住する、困り感を抱える知的ギフテッドチャイルド(以下ギフテッド)にどのような特性があるのか、また、どのようなニーズがあるのかを明らかする。それを踏まえ、どのような支援が望まれるのかを検討する。WISC-4知能検査の4指標から、子どもの困り感につながるような関連性や傾向があるのかを検討することを目的とした。
方 法
本研究では、ウェクスラー式知能検査において、FIQ≧130の子どもをギフテッドとし、学校生活を中心に、何らかの困り感を抱えるギフテッドを対象とした。協力が得られたギフテッドの学齢は、幼稚園年長から高校1年生までであった。高い知能と障害を合わせ持つ、2E(twice exceptional=2重の例外)と言われる、発達障害の診断を受けた子どもも含まれていた。性別は男子8名、女子3名であった。就学生のうち、8名は通常学級、2名は支援級の在籍であった。
ギフテッドの親11名を対象に、半構造化面接(電話面接法)でインタビューを行った。子どもの生育歴や困り感のある場面に関して語られた内容を逐語データに変換し、M-GTAを用いて分析した。また、10名のWISC-4知能検査結果から、4指標の合成得点の平均に対して、被験者内1要因分散分析および多重比較を行った。さらに、個人内の指標間比較を行い、データ上の特徴を検討した。
結 果
M-GTAの分析の結果、51の概念と13のカテゴリーが生成された。子どもの対人関係、集団生活、学習場面での困難さが示されたが、学習成績の優秀さもあるため、周囲からは困り感が理解されにくい。それが子どもや親の苦しみにつながることがある。中には、チックなどの身体症状を呈するほどの、強いストレスを感じる子どももいる。親は、特に子どもが所属する学校の教師に対して、子どもの特性を正しく理解し、苦手な部分に対しては適切な支援をして欲しいと思っている。また、興味のあることは、探求せずにはいらず、どんどん知見を広げるといった、子どもの強みとなり得る特性にも配慮した、一斉授業に囚われない、柔軟かつ個に応じた教育方法や支援を望んでいる事が明らかになった。
10名のWISC-4の分散分析の結果から、4指標の各平均に有意差が見られた(F(3,27)=7.29,p<.01)。Bonferroni法による多重比較の結果は、VCI>PSI、PRI>PSI、WMI>PSI(p<.05)であった。個人内の指標間比較では、15%水準では、すべての子どもにおいて、また5%水準では、9名の子どもにおいて、いずれかの指標間での有意差が認められた。
考 察
M-GTAの結果から、困り感を抱えるギフテッドの親が、現在の教育制度や教育課程において、十分な満足を得られているとは言えない。今後、子どもの凹みに焦点を当てる支援だけでなく、興味・関心を満たすような学習の取り組みや、心理的支援を含めた教育制度を整える必要があると思われる。
また、WISC-4の分析の結果から、VCI、PRI、WMIの3指標と比較した際のPSIの低さ、ならびに、4指標間に見られるディスクレパンシーとが、困り感を抱えるギフテッドとの関連があることが示唆された。

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