発表

1C-094

大学院生による読み困難児童への短期支援

[責任発表者] 藤原 直子:1
[連名発表者] 津川 秀夫:1, [連名発表者] 宇都宮 真輝:1, [連名発表者] 川本 悠希#:1, [連名発表者] 祖堅 勝行#:1, [連名発表者] 井上 宗政#:1, [連名発表者] 松本 奈浦:1, [連名発表者] 太田 早紀:1, [連名発表者] 古好 誠人:1, [連名発表者] 岡田 夏美#:1, [連名発表者] 森 康行#:1
1:吉備国際大学

目 的 
 発達性ディスレクシア(以下,ディスレクシア)は,知的な遅れはないにもかかわらず読むことに著しい困難をもつ障害である。ディスレクシア症状のある児童は,学年が進んで気づかれた場合には,学習全般の困難や学校生活への不適応が生じることも多く,できるだけ早く気づいて支援を開始することが重要である(関, 2015)。
 本研究では,ディスレクシアをはじめ読み困難児童の早期発見・早期支援を目的とし,心理の専門職を目指す大学院生が小学校に出向いてアセスメントと短期支援を行った。その支援結果や大学院生の自己評価から,支援の効果を検討する。
 
方 法
対象児 岡山県内の公立小学校2校において通常学級に在籍する1年生児童23名(男子11名, 女子12名)。2016年5月末~6月に,1年生全員に読み検査課題(稲垣, 2010)を実施し,単音・有意味単語・無意味単語・単文のうち2項目以上において基準値+2SDの児童を抽出した。
実施者 大学院心理学研究科に在籍する学生9名。
実施時期・回数 同年7月,2週間に計3回の支援を行った。
支援内容 ことば遊び,デコーディング,単語音読を行った。ことば遊びや単語の内容は,対象児の読み状況により実施者が選定した。デコーディングは,鳥取大学方式(小枝・関・内山,2010)で行った。1回の支援は20~30分であった。
使用教材 文字カード(ひらがな清音・濁音・半濁音・拗音),単語カード(拗音・促音の入る20単語)を自作した。
倫理的配慮 吉備国際大学倫理委員会の承認を得て研究を進めた。児童へのアセスメントおよび支援については,文書により保護者に説明し同意を得た。
 
結 果
読み検査課題 指導前(pre)と指導後(post)の読み検査課題の結果をTable 1,2に示した。全ての課題において改善がみられ,特に「単文読み時間」と「単音読み誤り数」においては有意な改善が認められた。
大学院生による自己評価 3回の支援終了後にアンケートを実施し,8名から回答を得た。4件法(1:全然そう思わない~4:とてもそう思う)による評価の平均をTable 3に示した。支援に関する自己評価,取り組みに対する満足度を尋ねたところ,「参加してよかった」「また参加したい」「他の学生にもすすめたい」は平均3.8~4.0の高評価であった。
 また,自由記述で感想を尋ねたところ,複数名が「児童への対応やその子に合わせた支援ができるようになった」「支援するのが楽しかった」と述べていた。

考 察
 本研究では,大学院生が読み困難のある1年生への個別支援を行った結果,3回という少数回ではあるが支援効果が示された。また,実施した学生の満足度が高く,対応スキルが向上したことも推察され,将来支援者を目指す学生にとって意義のある取り組みであると示唆された。
 今後,児童にとってより効果的な支援方法を検討するとともに,大学生への教育効果や小学校教員にとっての意義といった側面からも効果検証をしていく必要がある。

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