発表

1C-091

学校生活スキルがスクール・コネクテッドネスに及ぼす影響

[責任発表者] 谷 英俊:1
[連名発表者] 岡嶋 北斗#:2, [連名発表者] 津川 秀夫:3
1:日笠クリニック, 2:旭川荘厚生専門学院, 3:吉備国際大学

目的
スクール・コネクテッドネス(School Connectedness: SC)は,児童生徒と学校を結びつける価値観や活動を指す概念である(Libbey, 2004)。中学生のSCに関しては,測定する尺度が作成され(津川・高本, 2013, 2014),登校行動が良好な者はSCが高いこと(津川他, 2013)などが明らかにされてきた。
一方,学校生活スキル(School-life Skill: SS)は中学生が発達課題や教育課題に直面したさいに役立つ対処スキルであり(飯田・石熊, 2002),SSと不登校傾向の関連性が明らかにされてきた(五十嵐, 2011)。
本研究では,学校とのつながりを確立するには,どのようなスキルを高めることが有効であるか明らかにすることを目的として,SSがSCに及ぼす影響を検討した。

方法
対象者 A県の公立中学校に通う2,3年生の生徒354名(男子166名,女子188名,平均年齢13.59歳,SD=0.38)を対象とした。
調査時期 2016年5月に下記の質問紙を集団にて実施した。
質問紙 学校生活スキル尺度(飯田・岩隈, 2006) SSを〈自己学習スキル〉〈進路決定スキル〉〈集団生活スキル〉〈健康維持スキル〉〈同輩とのコミュニケーションスキル〉の5因子から測定する尺度である。全54項目からなり,回答形式は4件法であった。
中学生版むすびスケール(津川他, 2013) SCを〈部活動〉〈所属〉〈友人〉〈教師〉〈規範〉の5因子から測定する尺度である。全35項目からなり,回答形式は4件法であった。

結果
SSとSCの相関 学校生活スキル尺度の得点とむすびスケールの得点を用いて因子間の相関係数を求めた(Table 1)。
その結果, SSの〈自己学習スキル〉とSCの〈所属〉, SSの全ての因子とSCの〈部活〉において.25から.31の有意な弱い正の相関が認められた。また,SSとSCの残りすべての因子間で.40から.57の有意な中程度の相関が認められた。
SSがSCに及ぼす影響 SSを説明変数,SCを目的変数として重回帰分析をおこない,β=.20以上の影響のあったものをFigure 1に示した。
SSの〈進路決定〉は「将来役に立ちそうな,のばすべき自分の才能がなんであるか考える」などの進路に関する意思決定スキルであり,SCの〈教師〉に正の影響を示していた。
SSの〈集団活動〉は「集団で行動するとき,自分の番がくるまで待つことができる」など,集団活動のさいに必要とされるスキルであり,SCの〈所属〉〈規範〉〈友人〉〈教師〉に正の影響を示していた。
SSの〈健康維持〉は「疲れを感じたときしっかり休むことができる」などの自分の体調に気をつけるスキルであり,SCの〈教師〉に正の影響を示していた。
SSの〈同輩とのコミュニケーション〉は「友人に自分の考えを打ち明けたいときどう表現していいかわからない(逆転項目)」などの友人や異性とのコミュニケーションに関するスキルであり,SCの〈所属〉〈友人〉〈部活動〉に正の影響を示していた。

考察
相関分析と重回帰分析をおこなった結果,SSとSCの間に関連性があることが明らかになった。そして,学校とのつながりを強めるには,〈進路決定〉〈集団活動〉〈健康維持〉〈同輩とのコミュニケーション〉の4つのスキルを高めていくことが有効であることが見出された。そのなかでも,〈集団生活〉〈同輩とのコミュニケーション〉は複数のSCに影響を及ぼすスキルであることから,学校とのつながりを確かなものにする上では特に重要なことが示唆された。

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