発表

L-017

うつ病罹患者に対する信念の構造とスティグマの低減方策—臨床社会心理学的アプローチ—

[講演者] 樫原 潤:1,3, [司会者] 水野 治久:2
1:日本大学, 2:大阪教育大学, 3:日本学術振興会

うつ病の罹患者は周囲からのスティグマ(偏見,差別)にさらされやすく,そのために多くの社会的な不利益を被りやすいとされている。スティグマの低減に向け,これまで精神医学の分野を中心に様々な教育が実施されてきたが,それらは「質問紙尺度上で表面される,顕在的な態度の変容」という効果を示すにとどまっていた。
本講演では,社会心理学の観点と技術を導入して臨床的なトピックを検討する「臨床社会心理学」の発想を生かすことによって,従来のスティグマ理論を大きく更新できることを示す。具体的には,講演者による一連の実証的研究を紹介し,(1)質問紙尺度上には表れない潜在的スティグマが存在する,(2)反ステレオタイプ法の原理を採り入れた教育を実施することで,潜在的スティグマを効果的に低減できる,といったことを示す。これらの研究知見を踏まえ,スティグマ研究や一般向けうつ病教育の今後の方向性について議論する。

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