発表

1C-033

子どものメンタルヘルスの問題に対する態度質問紙の作成

[責任発表者] 竹森 啓子:1
[連名発表者] 下津 咲絵:1, [連名発表者] 石川 信一:2, [連名発表者] 神尾 陽子#:3
1:京都女子大学, 2:同志社大学, 3:国立精神・神経医療センター

目 的
 児童期でのうつ病の時点有病率は1~2%であり(Avenevoli et al., 2008),不安症全体の有病率は10%にも及ぶ(Costello, 1989)。
 また,児童の攻撃行動は年々増加傾向にある。文部科学省(2016)の調査によると,平成27年度の小学校での暴力行為の発生件数は17137件であり,国公私立学校への調査が開始されて以来,増加の一途をたどっている。
 更に,知的発達に遅れはないものの,学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒が6.5%存在し,その内,何も支援がなされていない児童生徒は38.6%もいることが指摘されている(文部科学省, 2012)。
 以上のように様々な問題を抱え得る児童期において,それらの問題を放置しておくことは,児童のメンタルヘルスの観点からも好ましくない。また近年,メンタルヘルスに関する問題の早期予防の必要性が指摘されており,それにはメンタルヘルスリテラシー(以下MHL)の向上が大切な要因であることが示唆されている(大久保ら, 2011)。文部科学省(2012)は,特別支援教育の充実のため,「すべての教員は,特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる」と明示している。つまり教師のMHLの向上が求められていると考えられる。
 従来,MHLを測定する際にはビニエットが多く用いられてきた。しかし,ビニエットでの測定だけでは不十分であり,尺度を作成する必要があると考えられる。
 そこで本研究では,児童の抱えるメンタルヘルスの問題に対する教師のMHLを測定する尺度を作成することを目的とする。その際,メンタルヘルスの問題として,抑うつ症状,不安,攻撃行動,発達障害(ASD,ADHD)を取り上げる。
方 法
1.予備項目の作成
既存の尺度より,学校現場など日常で起こりうる行動,問題などを抽出した。その際,抑うつ,不安,攻撃行動,発達障害(ASD,ADHD)に関する尺度を参考にした。さらに各問題に対して誤解されやすい内容について整理し,項目を作成した。
2.対象者
(1)教員60名(男性24名,女性36名,平均年齢34.53歳,SD=10.63歳)
(2)臨床心理学を専攻する大学院生43名(男性11名,女性32名,平均年齢25.49歳,SD=6.30歳)
(3)大学生1,2年生283名(男性81名,女性202名,平均年齢18.85歳,SD=0.88歳)
3.調査材料
(1)フェイス項目
教員:性別,年齢,職業
学生:性別,年齢,学年,専攻
(2)MHL尺度予備項目:作成した40項目6件法
結 果 と 考 察
1.因子分析
教員において天井効果のあった8項目を除いた32項目について因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った。その結果,27項目3因子が抽出された。第1因子は「知識」(α=.93),第2因子は「積極的関心」(α=.93),第3因子は「対処法」(α=.90)と名付けられた。
2.再検査信頼性
大学生31名を対象に4週間の期間を空けて再検査信頼性を検討した(Table 1)。結果,十分な値が得られ,信頼性が確認された。
3.内容的妥当性
 臨床心理士2名,児童精神科医1名によって確認された。
4.構成概念妥当性
 教員,大学院生,大学生の3群によるMHL尺度得点を比較した(Table 1)。その際,仮説を(1)児童に日常的に接している教員は大学生よりもMHL得点が高いだろう,(2)臨床心理学を専攻する大学院生は大学生よりもMHL得点が高いだろう,の2点とした。結果,いずれの仮説も支持され,妥当性が確認された。
 以上の結果から,本尺度は十分な信頼性,妥当性を有していると考えられる。

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