発表

1C-013

魅力効果における社会的距離の影響

[責任発表者] 鈴木 修司:1
1:北海学園大学

目的
解釈レベル理論は、意思決定は心理的距離に応じて形成される表象に依存する。その結果、各属性の重要性が変化する。一方、魅力効果の出現には、選択肢間の優劣関係が関与する。選択肢は複数の属性から構成されているのが一般的である。そのため、どの属性がどの程度、重要であるかという点は魅力効果の出現に影響を与えると考えられる。本研究の目的は、魅力効果に心理的距離が影響することを証明し、そこには属性の重要性の変化が関与することを示すことである。
解釈レベル理論によると、意思決定時に形成された表象に依存して、心理的距離が大きい場合には、望ましさの属性の価値を重視した意思決定がおこなわれ、小さい場合には実行可能性の価値が重視されることになる。心理的距離の1つが社会的距離である。この距離は自己からの距離を反映する。例えば、自分と同じ大学に属する学生といった類似の他者との社会的距離が小さい。その一方で、自分とは異なる大学に属する学生といった非類似の他者との社会的距離は大きい。そのため、他者の決定を予測するといった場合にも、学内の友人に関しては実行可能性の属性を重視するのに対して、見知らぬ大学生に関しては望ましさの属性を重視するのである。
魅力効果とは、非対称的な支配関係が存在することで、支配的な選択肢(target)に対する選択が増加することを指す。この効果はその支配関係に注目した知覚的処理の結果だとされる。とするならば、重要性の高い属性に優れた選択肢が支配的である場合には、その支配関係はより顕著となるだろう。一方、重要性の低い属性に優れた選択肢が支配的であったとしても、その関係はさほど顕著なものとはならないだろう。
選択肢が望ましさの属性と実行可能性の属性から構成される場合、それらに重要性は社会的距離に依存する。社会的距離が増大するに従い、望ましさの属性は重要性が増す一方で、実行可能性の属性は重要性が低下する。そのため、targetが望ましさの属性に優れている場合には、社会的距離に応じて魅力効果は増大すると予測される。一方、targetが実行可能性に優れている場合には、社会的距離に応じて魅力効果は減少すると予測される。本研究では、この仮説を検証した。
方法
被験者:札幌市内の私立大学の大学生302名。
手続き:実験参加者はランダムに2(社会的距離:類似他者vs.非類似他者)×2(属性の階層:望ましさ重視vs.実行可能性重視)の4群に分けた。参加者には3課題において、他者の選択を予測することを要求した。類似他者条件では、その他者が同じ教室の周囲にいる他者とし、非類似他者条件では、その他者は日本の平均的な大学生とした。社会的距離を操作するために、選択課題に取り組み前に、当該の他者の特徴を記述するように求めた。属性の階層性要因では、当該の他者がもつ属性の重要性を操作した。望ましさ優先条件では、当該の他者は望ましさを実行可能性よりも重視すると教示した。実行可能性条件では、実行可能性を望ましさよりも重視するとした。前者の階層性は解釈レベル理論の主張と一致するが、後者が一致しない。そのため、前者では仮説に示した属性の重みづけの変化に応じた魅力効果の変化が観察されるのに対し、後者ではそのような変化は観察されないと予測した。
選択課題では、3つの題材を用いた。そして、属性の階層性要因に応じて、重要性の高い属性に優れたtargetを第一target、重要性の低い属性に優れたtargetを第2targetとした。各参加者はランダムに選ばれた3つの課題を経験した。仮説によると、望ましさ優先条件では、類似他者条件と比べて非類似他者条件において、第一targetの選択は増加し、第二targetの選択は減少する。一方、実行可能性優先条件では、そのような社会的距離に応じた変化は生じないと予測した。
結果と考察
統計的分析の結果、望ましさ優先条件では、社会的距離要因とtarget順位要因との間に、有意な交互作用があることが示された。また、第一targetの選択率は類似他者条件(.697)よりも非類似他者条件(.810)の方が有意に大きかった。一方、第二targetの選択率は社会的距離が増大するに従って減少した(.644, .63)が、その大きさは有意ではなかった。また、実行可能性優先条件では、社会的距離要因とtarget順位要因との間に有意な交互作用はなかった。以上の結果は本仮説を支持すると言える。

詳細検索