発表

1B-069

Kinect を用いた感情反応の継時的測定(1) 快/不快刺激に対する表情測定の試み

[責任発表者] 今田 純雄:1
[連名発表者] 吉田 弘司:2
1:広島修道大学, 2:比治山大学

【目 的】
感情反応は,認知評価,主観的情感(feel),生理変化,行動 の 4 側面から測定される(Shiota & Kalat, 2012; 今田・北口, 2015)。これらは継時的に変化する動的側面をもつが,その測定は容易ではない。本研究では,感情喚起に伴う表情および 体動の動的側面の測定を試みる。
吉田(2016)は,Kinect v2 センサ(Microsoft, X-box 周辺機器) を用いて,複数の人物を同時に,その体動,表情(注視,笑 顔,口の開口,目の開閉等)を 30Hz のサンプリングで測定 する実験プログラムを開発した。本研究では,吉田が作成し たプログラムに,キーボード動作を記録する機能を付加させ, 同時に,他のアプリケーション(SuperLab 4.5)と連動させる ことによって感情反応の動的側面を測定することを試みた。 すなわち,感情喚起刺激(画像)の提示による表情および体 動の変化を経時的に測定することを目的とする。
【方 法】
参加者 女子大学生1名(21歳)が実験に参加した。 材料・装置 快/不快感情を喚起させると想定された写真2 枚(「乳児をかかえてほほえむ母親」ならびに「ゴキブリ」の 写真)を使用した。実験装置の概要をFigure 1に示す。写真 の提示ならびに実験進行の時間制御には SuperLab 4.5 を用い た。実験参加者の体動,表情変化の測定・記録には Kinect v2 センサならびに吉田(2016)によって作成された自作プログラムを用いた。実験参加者による快不快評定はキーボードを用 いて行われ,それらは SuperLab 4.5 および自作プログラムに記録した。
手続き 実験参加者に,快および不快の感情喚起を想定した 写真をそれぞれ 10 秒間提示し,提示後に快不快の程度を5件 法(5: 快,4: やや快,3: 中立,2: やや不快,1: 不快)で判 定させた。それぞれの写真提示のタイミングは実験参加者自 身がキーを押すことによって行われた。
結果の処理 快ならびに不快写真を提示したそれぞれ 10 秒 間を処理の対象とした。サンプリングは 30Hz で行われてお り項目別に 300 ヶのデータがあるが,一部にデータの欠落(項 目別に 1-4%)が見られた。よって結果の分析は,これら欠落 データを除き,相対的な出現頻度を求めることによって行われた。
【結果と考察】
「乳児をかかえてほほえむ母親」ならびに「ゴキブリ」の 写真に対する評定は,それぞれ 4(やや快)および 2(やや不快) であった。想定通りの快/不快感情が喚起された。
笑い,目の開閉,目そらし,開口,口の動きについて,各 刺激 10 秒間における出現頻度を求めた(Figure 2 参照)。目そらし,口の動きに関して快/不快刺激の差が顕著に見られた。
不快刺激に対しては,目をそらす頻度ならびに口を動かす頻 度が高まった。
本測定システムは,感情反応の動的変化を Kinect v2 センサ を用いて,詳細かつ経時的に測定することを可能とするもの である。今回,心理学実験にしばしば用いられる汎用プログ ラムである SuperLabとの連動性が確認されたことは,今後に おける感情研究のさらなる発展を期待させるものである。
文献 今田純雄・北口勝也 (2015). 動機づけと情動 培風館
Shiota, M. and Kalat, J. ((2012). Emotion(2nd) Wadworth, Cengage Learning.
吉田弘司 (2016). Kinect を用いたオープンフィールドにおけるヒューマンセンシング 中四国心理学会論文集, 49, 17. 謝辞:本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(B) 16H03725)による研究成果の一部である。実験を実施 するにあたり広島修道大学人文学部(心理学専攻)山野誠也 さんのご協力を得た。記して感謝する。

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