発表

1B-062

課題関連情報に対する反応頻度の偏りが遂行成績を変化させる

[責任発表者] 渡辺 友里菜:1,2
[連名発表者] 吉崎 一人:1
1:愛知淑徳大学, 2:日本学術振興会

目 的
 これまで我々は反応頻度の偏りが,サイモン課題の反応時間を変化させることを示してきた(渡辺・吉崎,2016)。しかし,遂行成績の変化が,特定の反応手での反応頻度が高い(例えば,右手より左手の反応頻度の方が高い)ことによるものか,特定の刺激に対する反応頻度が高いことによるものかは明確になっていない(Watanabe & Yoshizaki, 2017)。そこで本研究は,反応手に対して二つのターゲットを関連付け(例:赤の円あるいは灰色の正方形が出現したら右手で反応),ターゲットのうち,一つを低頻度(5%),あるいは高頻度(45%)で,もう一つは25%の割合で呈示した。この操作により,遂行成績の変化は何の頻度に応じて変化するのかを検討するのが,本研究の目的であった。
方 法
刺激 ターゲットは,赤色(255,0,0)か,緑色(0,255,0)に着色された円,あるいは灰色(153,153,153)の四角形(正方形および,ひし形)で,白色背景に呈示された。エラー時は音のフィードバック(2KHz, 50ms)を行った。ターゲットは凝視点から水平線上に視角にして4.65°左あるいは右へ呈示された。円は黒色(0,0,0)の実線で縁取られていた。
手続き チャイム音+凝視点(500 ms)の後,刺激を150 ms呈示した。課題は,1)図形の色が,赤色か緑色か灰色かを同定し,赤色か緑色であればできるだけ速く,できるだけ正確に色に対応したボタンを押すこと,2)灰色であれば,図形が正方形かひし形かを同定し,できるだけ速く,できるだけ正確に刺激と対応したボタンを押すことであった。反応は,左右手第二指による,ターゲットの色および色と図形に対応付けられた左右配置のボタン押しであった。実験は24試行の練習後,160試行構成のブロックを4ブロック実施した。刺激の呈示頻度は,円あるいは四角形のどちらかが変動し(5%, 45%),残る一方は25%に固定された。例えばあるブロックの出現確率は,変動条件の円は赤45%,緑5%,25%固定条件の四角形は,正方形とひし形の双方共に25%であった。この組み合わせは,ブロックごとにカウンターバランスされた。
要因計画 刺激の呈示頻度操作(変動,25%固定)×手の反応頻度(高頻度,低頻度)×適合性(一致,不一致)の 3要因実験参加者内計画であった。
実験参加者 大学生あるいは大学院生16名(M = 21.94歳,女性13名)が実験に参加した。
結 果
 正答に要した反応時間と,誤答率を用いて,要因計画に沿った分散分析を行った。
 反応時間 手の反応頻度の主効果が有意となり,高頻度条件(416 ms)が低頻度条件(442 ms)よりも速いことが示された(F (1,15) = 55.33, p < .001, ηp2 = .79)。適合性は主効果に有意な傾向がみられ,一致(426 ms)よりも不一致(432 ms)の方が遅い傾向があった(F (1,15) = 3.65, p = .075, ηp2 = .20)。重要なことに,刺激の呈示頻度操作×手の反応頻度の交互作用が有意となった(F (1,15) = 233.62, p < .001, ηp2 = .94)。これはFigure1に示すように,刺激の呈示頻度が変動しているときには,手の反応頻度によって反応時間が変化し,低頻度条件よりも高頻度条件で反応時間が速いこと,そして刺激の呈示頻度が25%に固定されている時には手の反応頻度による反応時間の変動はないことの反映であった。
誤答率 手の反応頻度の主効果が有意となり,高頻度条件(5.0%)は低頻度条件(7.8%)よりも誤答率が低いことが示された(F (1,15) = 7.33, p = .002, ηp2 = .33)。また,刺激の呈示頻度操作×手の反応頻度の交互作用が有意となり(F (1,15) = 18.25, p < .001, ηp2 = .55),反応時間と同様のパターンを示した。
考 察
遂行成績は,特定の刺激に対する反応頻度が高い(低い)際に変化した。反応頻度が高い反応手を用いて,呈示頻度が25%の刺激に対して反応する際は,変化しないことが示された。つまり,遂行成績は特定の刺激に対する反応頻度の偏りに依拠することから,課題関連情報(赤・緑/正方形・ひし形)の反応頻度の偏りが,遂行成績を変化させることが明らかとなった。本研究は,反応が片側の手に偏っていることが,反応を促進させる訳ではないことを示した点で重要である。
引用文献
渡辺・吉崎(2016). 反応頻度の偏りがサイモン効果を変化させる,日本基礎心理学会第35回大会プログラム,68.
Watanabe, Y., & Yoshizaki, K. (2017). Response speed in a Simon task depends on response frequency rather than on a specific stimulus-response contingency, 2nd International Convention of Psychological Science (Vienna, Austria).
付 記
本研究は JSPS科研費 JP15K04198,JP16J02232 の助成を受けたものである。

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