発表

1B-052

音質に及ぼすサンプリング周波数の効果

[責任発表者] 尾田 政臣:1
1:立命館大学

目 的
 音楽を携帯型音楽プレイヤーで聞くことは一般的なった。雑音下でデータ圧縮された音楽を聴くことは、音質的にはよい環境とは言えない。一方、ハイレゾ音楽が容易に入手可能になってきている。前者の音質に馴染んだ者が、ハイレゾ音楽の音質向上を感じることができるのかを実験的に調べた。
方 法
 量子化ビットは16bitとしサンプリング周波数を8kHzから96kHzまで7段階で変化させ、その時の音質の良さを評価させた。サンプリング周波数96kHz,量子化ビット32bitの音楽を標準刺激とし、標準刺激とテスト刺激を継時的に提示し、標準刺激の音質を10とし、テスト刺激の音質を1から20の値で評定させた。ジャンルが異なる3曲から約25秒間切り出し刺激曲とした。曲の終わりはフェードアウトさせた。第1曲は藍井エイルが歌う春spring(sp),第2曲はホルストの組曲「惑星」を冨田勲がシンセサイザー化した曲(to)、第3曲はMozart作曲のViolin concerto in D major – Allegro、TrondheimSolistene演奏の曲(mo)である。各曲はランダマイズされた順番で提示された(表1)。ただし、3曲はsp,mo,toの順番とし、同じサンプリング周波数の課題が続かないように配慮した。実験は大教室で一斉に行われた。曲はPC内のfoobar2000で再生し、USB-DAC(TEAC UD501)、Boseのアンプ及びスピーカを介して流された。音楽の聴取方法について、実験後アンケート調査した。
結 果
 実験時に実験者の操作ミスでsp8の提示に失敗した。
そのため、分析の都合でsp8,mo8,to8を分析から除外した。実験結果を図1に示す。
分散分析の結果、音楽種別の主効果が有意(F(2,134)=28.60, p<.01),サンプリング周波数の主効果(F(5,335)=54.01, p<.01)、交互作用も有意(F(10,670)=7.29, p<.01)であった。音楽種別ごとの平均値はsp=9.89, to=9.01, mo=10.45でRyan’s methodの多重比較の結果は5%水準でmo>to>spの有意な関係が認められた。またサンプリング周波数の各平均は11kHz=7.36, 16 kHz =9.20, 22 kHz =9.97, 44 kHz =10.96, 48 kHz =10.52, 96 kHz =10.71であり、多重比較の結果44kHz=48KHz=96KHz, 48kHz=22kHzと差がなく、他の組み合わせには差が認められた。概ね22kHz以下では44kHz以上の音質より低い評価値となった。44kHzの曲間を除き単純主効果が認められた。
 音楽聴取環境についてのアンケート調査から、普段使われているのは携帯型音楽プレイヤーが58名、TV、Radio、ネットが9名、ステレオ装置が1名、ハイレゾ装置0名であった。
考 察
 CD規格のサンプリング周波数44kHzで十分で、それ以上のハイレゾ帯の周波数でも、音質の改善は認知されない。
どのような機器を用いているかは、ステレオを聴いているものが1名で、またハイレゾ装置は誰も所有しているものはいなかったので、日常的に低音質環境で聴取している影響なのか、もともとハイレゾのサンプリング周波数の違いを知覚できないのかは確定できない。
 協奏曲はサンプリング周波数が低くても音質の劣化を感じにくい。多重の音色が複合していることで音質の低下が認知されにくいのか、聞きなれている音楽の方が音質の劣化に敏感なのかといった点も本実験だけからは確定できない。

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