発表

1B-022

弱い束縛行動と強い束縛行動が恋愛関係に及ぼす影響

[責任発表者] 片岡 祥:1
[連名発表者] 園田 直子:2
1:西南学院大学, 2:久留米大学

目 的
 恋人から束縛行動を受けることが関係性に及ぼす影響については,関係性に悪影響を及ぼすという知見と,関係維持に寄与するという知見が存在する。相反する見解が生じる理由の1つとして,多くの研究では行動の頻度に焦点をあてたアプローチが主流であり,束縛の強度に着目していない点があげられる。このことをふまえて,まずKataoka(2016)では束縛を「弱い束縛」と「強い束縛」に区別して分類した。弱い束縛は恋人から頻繁にメールや電話が来るなどの行動が該当する。これらは,恋愛関係の中で一般的にみられるものと考えられる。強い束縛は,恋人から無断で携帯のメールを見られたり,異性のアドレスを消されたりするなどの行動からなる。これらは,過度の束縛あるいはデートDVと考えられる行動といえる。
本研究は弱い束縛行動と強い束縛行動という2つをとりあげ,恋愛関係に及ぼす影響を検討する。

方 法
調査対象者 恋人がいる16歳から29歳の男女900人(男性450人,女性450人;平均年齢22.497歳,SE=0.125)を対象に分析を行った。データ収集はウェブ調査会社(クロス・マーケティング)に依頼した。
質問紙
弱い束縛行動と強い束縛行動 Kataoka(2016)によって開発された「弱い束縛行動」因子と「強い束縛行動」因子それぞれ10項目からなる尺度を用いた。各項目について恋人からされた頻度を回答してもらった。評定は「全くない」(1点),「少しある」(2点),「たまにある」(3点),「よくある」(4点)の4件法で行った。
関係満足度と関係重要度 金政・大坊(2003)で用いられた尺度を用いた。関係満足度尺度と関係重要度尺度はともに2項目から構成され,評定は7件法で回答してもらった。

結 果
 関係満足度と関係重要度を目的変数とした階層的重回帰分析を行った(Table1)。どちらも交互作用項を投入したStep3においてR2の変化量が有意であったため,このモデルを採択した。関係満足度の交互作用項について単純傾斜検定を行った(Figure1)。強い束縛行動が低い場合,弱い束縛行動の違いにより関係満足度に差異は見られなかった(t(893)=1.068, ns)。強い束縛行動が高い場合は,弱い束縛行動が高いほど関係満足度が高かった(t(893)=6.804, p<.01)。また,弱い束縛行動が低い場合は,強い束縛行動が高いほど関係満足度が低かった(t(893)=8.276, p<.01)。弱い束縛行動が高い場合は,強い束縛行動が低いほど関係満足度が高かった(t(893)=7.012, p<.01)。なお,関係重要度についても同様の傾向がみられたことから,本稿では割愛する。
Table1 関係満足度と関係重要度に対する階層的重回帰分析
**p<.01
Figure1 関係満足度に対する交互作用項の分析

考 察
 恋人から強い束縛行動を受ける経験は,恋愛関係に悪影響を及ぼすことから,関係破綻を招く可能性がある。これは,デートDV研究と同様の知見と言える。対して,弱い束縛行動を受ける経験は恋愛関係の満足度を高めることから,関係維持に貢献するといえるだろう。恋愛関係内で生じるデートDVに該当する行動の中でも,束縛行動に関しては,強度の違いにより恋愛関係に及ぼす影響が異なることを実証した。

引用文献
Kataoka, S. (2016). The stages of restriction in romantic relationships. Poster session presented at the 31st International Congress of psychology. Yokohama, Japan.

付記 本研究は科研費(若手B,15K21556)の助成を受けた。


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