発表

1B-018

コミュニケーションから環境配慮行動への影響過程:メディアからの情報と身近な人とのコミュニケーションの比較

[責任発表者] 安藤 香織:1
[連名発表者] 大沼 進:2, [連名発表者] 安達 菜穂子:3
1:奈良女子大学, 2:北海道大学, 3:大阪市立大学

目的
 本研究では、メディアからの情報、身近な他者とのコミュニケーションが省エネ行動に及ぼす影響について検討する。メディアからの情報は不特定多数に向けた一方向的な情報提供であるのに対し、身近な他者からの情報はより注意を引きやすく、より精緻化した処理を行う動機づけが高くなると考えられる。よって、身近な他者とのコミュニケーションの方が環境配慮行動に及ぼす影響が大きくなるだろう。野波ほか(1997)ではマス・メディア、ローカル・メディア、パーソナル・コミュニケーションがリサイクル行動に及ぼす影響を検討したところ、パーソナル・コミュニケーションの方がメディアからの情報よりも行動に及ぼす影響が強いことを示している。
 本研究では、大阪市鶴見区で行われた、地域での省エネ行動推進プロジェクトである「Leading Eco Lifeつるみ」の参加者を対象として、質問紙調査を実施し、メディアからの情報と身近な他者とのコミュニケーションが省エネ行動に及ぼす影響のプロセスを検討する。分析に際しては、広瀬(1994)の環境配慮行動の二段階モデルを用いて、重回帰分析によるパス解析を行う。
方法
調査期間 2015年10月~12月
手続き 「Leading Eco Lifeつるみ」への参加者を対象とし、郵送により調査票を送付した。また参加者はインターネットにより調査者が電気使用量を確認できる手続きを取った。インターネットで登録していなかった世帯は、後日各月の電気使用量を用紙に記入して送付した。
有効回答数 454(対象世帯653、有効回収率69.5%) 
質問項目 マス・メディアからの情報 (1項目)、ローカル・メディアからの情報(1項目)、身近な人とのコミュニケーション (3項目)、深刻性認知(3項目)、責任帰属認知(2項目)、対処有効性認知 (2項目)、コスト評価(2項目)、主観的規範 (2項目)、実行可能性評価 (1項目)、目標意図 (2項目)、行動意図 (1項目)、省エネ行動:冷暖房の省エネ実行度(2項目)に関して、5件法で回答させた。
結果
 コミュニケーションについて因子分析の結果、2因子解が得られ、身近な人とのコミュニケーションが第1因子、マス・メディアからの情報とローカル・メディアからの情報が第2因子となった。分析ではマス・メディアとローカル・メディアを合わせてメディアからの情報として分析する。
 メディアからの情報は、目標意図の規定因である、深刻性認知、対処有効性認知に影響を及ぼしていた。一方、身近な人とのコミュニケーションは、それらに加えて行動意図の規定因である、コスト評価、主観的規範、行動統制感にも影響を及ぼしていた。目標意図は行動意図に弱い影響を及ぼしていたが、行動への直接の影響はなく、行動意図が省エネ行動に影響していた。
 省エネ行動と1人あたりの電気使用量との関連について単回帰分析を行った結果、有意な関連があることが示された (β=-.12, p<.05, N=253)。
考察
 身近な他者とのコミュニケーションは目標意図に関連する要因だけでなく、コスト評価、主観的規範、行動統制感など行動意図に直接関連した要因との結びつきが強いため、環境配慮行動への影響をより強く及ぼしていることが示された。メディアからの情報は環境問題に関する認知を喚起することができるが、行動には直接結びつきにくい。

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