発表

1B-012

PDゲームにおける性差と共起ネットワークの構造的変化

[責任発表者] 安念 保昌:1
1:愛知みずほ大学

目 的
 囚人のジレンマ(PD)ゲームにおける協調回数や、様々な状況下での愛他・搾取などの比率(Annen & Yoshida, 2009)では、力動的に動くゲームの流れをつかみにくい。そのため、2者間の4種の関係を和惨搾底の文字にして、PDゲームの動きを連続する3文字の単語の流れにして、テキストマイニングを行った(Annen, 2016; 安念, 2016)。それによると、男性の経路には和和和がどの対戦相手にも含まれていて、底底底から和和和に回復できる経路が存在するが、女性にはないということであった。これらの性差が、対戦の前半から後半へどの様に構造が変化しているのかを分析した。
方 法
 実験参加者:1997年から2015年にかけて、行われたPDゲームの性別が分かっている、有効なデータを再分析した。大学生、女性174名、男性125名。
 装置:インターネットに接続されたパソコン。サーバー上にPDプログラムを起き、そこにアクセスして対戦させる。PDゲームは最大4人まで、逐次対戦できるようにした。
 手続き:個人情報に関わる説明を行い、データ使用の許諾を受けた後、PDゲーム開始に先立って、実験実施年によって異なるいくつかの質問紙に回答してもらった。実験参加者には、対戦相手は全て参加者同士でゲームを行っている旨伝え、22回行ってもらった。実験終了後、デブリーフィングを行った。実際に対戦相手は、TFTで、プログラムではないように、ランダムな遅延時間をもって、反応させた。
 分析:最後の2回分のデータを削除し、前半と後半それぞれ、10回ずつの、対戦相手との関係を文字化し、前後を含んだ3文字単語として、文を構成した。実験参加者一人につき、前後それぞれ1つの文であらわされる。この文の人数分、合わせた文章を、樋口耕一(2015)のKH-Coder2.00fによってテキストマイニングを行った。分析は、和惨搾底から3文字が構成される64通りの単語を予約して分析し、共起ネットワーク図を描かせた。作成した図は、単語間の距離の近さをあらわしているだけであるが、それぞれの3文字単語から、ノード間の推移の方向性を特定することができる。
結 果
 最少スパニングツリーで描かれた共起ネットワーク図に、推移の方向性を書き込み、男女、前後間で比較した結果、女性(図1)では、前半において、底底底に嵌りこむステップが搾底底からの1ノードのみであるのに対して、後半では、底惨搾、惨搾底、搾底底と3ノードを巻き込むようになったことが示された。一方、男性(図2)でも、前半は、女性同様、底底底に嵌りこむステップが搾底底からの1ノードのみであるのに対して、後半では、底底底に嵌りこむことはなく、むしろ、底底底から這い出して、底底惨、底惨搾、惨搾底、搾底底と5ノードの一群を構成していることが分かった。
 これに対して、女性において、前半では、和和和に収まる和搾惨、搾惨和、惨和和の4ノード群が見られていたのが、後半では、さらに伸び、底惨和、惨和搾、和搾惨、(搾惨搾←→惨搾惨→)搾惨和、惨和和、和和和の8ノード群に広がりを示した。一方男性においては、女性と異なり、前半、後半とも、和和和→和和搾→和搾底の3ノード群で、這い出す構造が示された。
考 察
 TFTに対して、女性の場合、後半になるにつれ和和和に入り込む構造を膨らむが、悪くすると底底底に嵌りこむ推移構造を拡大してもいる。一方、男性では、和和和に安住することはないが、底底底に嵌りこんでいた状態から、後半には、抜け出そうとしているように見える。
これを進化的に解釈するなら、長い狩猟採集時代を経て、男性は、共同で狩りに出かけ、険悪な状況に陥らずになんとか獲物を取ってこないといけなかったため、底底底を脱することを模索するようになったと考えられるかもしれない。一方女性は、巣周辺で他の女性と良い関係を築いて効率よく採集にあたっていくが、険悪な関係になっても、大局的な見地に立てず、底底底に嵌るとそこを抜け出せないとしても、相対的には生き残りに影響を持たなかったからかもしれない。
引 用 文 献
Annen,Y. & F.Yoshida (2009) Influences of cooperative and defective voice priming on the PD game performance. The 13th International Conference on Social Dilemmas.
ANNEN,Y. (2016) Comparison of attachment styles using text mining in prisoner's dilemma game behavior with a Tit For Tat strategy. The 31st International Congress of Psychology.
安念保昌 (2016) 囚人のジレンマにおける共起ネットワークの性差. 日本人間行動進化学会 第9回年次大会.

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