発表

1B-003

Test-retest法を用いたMEG/EEG電流源推定の再現性の比較

[責任発表者] 國見 充展:1
[連名発表者] 廣江 総雄#:1, [連名発表者] 町澤 まろ#:2, [連名発表者] 山下 宙人#:1
1:ATR脳情報解析研究所, 2:広島大学

目 的
高い時間分解能を持つmagnetoencephalography (MEG) および electroencephalography (EEG) は、脳活動を非侵襲的に計測できる手法として頻繁に使用される。その際、脳内の活動位置(電流源)は、計測データと電磁場の法則を用いる電流源推定によって推定される。しかし電流源推定は、原理的に生体外から取得されたデータから脳内活動分布を推定する逆問題であり、解くのが困難な不良設定であることが指摘されている。そのため推定の信頼性に関してしばしば議論されるが、その定量的評価指標はいまだ確立されていない。本研究では同時計測によって得られたMEG, EEGそれぞれのデータから推定された電流源の再現性を直接的に比較することを試み、test-retest法を用いたMEGおよびEEGの電流源推定の再現性の評価法を提案し、その結果を考察する。
方 法
 9名の実験参加者(1 female, mean age: 28.4)が本研究に参加した。400チャンネルMEG(210-channel axial gradiometer and 190-channel planar gradiometer; PQ1400RM; Yokogawa Electric Co., Japan)と63チャンネルEEG (BrainAmp; Brain Products Gmbh., Germany)の同時計測を二日間、同一の手法で実施した。実験参加者は装置内で視覚的短期記憶課題(visual color change-detection task; cf., Vogel & Machizawa, 2004)を行った(Fig. 1)。実験条件はセットサイズ(1 vs. 4)× 注意視野側(右視野 vs. 左視野)とした。96試行を1セッションとし、5セッション行った。
行動データはCowan's K formula (Rouder, et al., 2011): K = (hit rate + correct rejection rate − 1) × memory set sizeによって評価した。電流源推定は事前分布としてminimum-norm algorithms を使用するVariational Bayesian multimodal encephalography (VBMEG; Sato et al., 2004) によって行った。電流源の空間的位置の再現性は空間的相関によって求めた。電流波形の条件間の差の再現性は、セットサイズ効果が顕著に出現する400-800msにおけるF = variance across conditions/variance across daysによって求められたF値からp値を計算した。その後比較対象としてbeamformerおよびminimum-norm algorithms単一の推定法でも推定を行った。
結 果 と 考 察
 行動データKに差があった二名を除外し、電流源推定およびその再現性検定を行った。電流源はMEG, EEGともに頭頂および後頭間溝周辺に認められた。推定された電流源の空間的位置の再現性を比較すると、MEGによる電流源推定の有意なアドバンテージが示された(Fig. 2)。
また、電流波形の条件間の差の再現性は頭頂間溝周辺領域においてMN, VBMEGで推定した場合にMEGとEEGとの間で有意差および有意傾向があったが、後頭間溝ではMEGとEEGとの差は認められなかった(Fig. 3)。
以上から視覚的短期記憶の電流源推定を行う場合、MEGによる推定の優位性が示された。しかしその差は脳領域、推定方法によって異なることが明らかになった。
引用文献
Sato, M et al., 2004. Hierarchical Bayesian estimation for MEG inverse problem. Neuroimage 23, 806–826.
Vogel, E.K., Machizawa, M.G., 2004. Neural activity predicts individual differences in visual working memory capacity. Nature 428, 748–751.
本研究は情報通信研究機構の研究委託により実施したものである(委託研究173番)。

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