発表

1A-089

キッズコスメに関する認識2−保育者を対象にした質問紙調査の結果−

[責任発表者] 水野 智美:1
[連名発表者] 徳田 克己:1, [連名発表者] 西館 有沙:2
1:筑波大学, 2:富山大学

目 的
幼稚園、保育所、子ども園に勤務する保育者を対象に、幼児期の子どもが化粧をすることについての認識、自分が担当した子どもが化粧をした経験や状況などを明らかにする。
方 法
1.調査対象者
埼玉県、茨城県、沖縄県で開催された保育者を対象とした研修会(それぞれの県で1か所ずつ)に参加した女性保育者550名を調査対象とし、378名から回答を得た(回収率69%)。そのうち、回答に不備のあるものを除き、357名の回答を分析対象とした。
2.調査手続き
任意による無記名自記式質問紙調査を行った。調査時期は、2016年1月~3月であった。
結 果
1.調査対象者の属性
 調査対象者の勤務先は、公立幼稚園9%、公立保育所18%、公立こども園3%、私立幼稚園14%、私立保育所39%、私立こども園10%、無回答7%であった。年齢は、20代44%、30代20%、40代14%、50代19%、60代以上2%、無回答1%であった。平均保育年数は12.12年(±11.39)であった。子どもがいる調査対象者は36%であった。
2.担当した子どもの化粧経験
これまでに担当したクラスの子どもが化粧をして登園した経験の有無を尋ねたところ、「化粧をしてきた子どもがいる」と答えた者は13%であった。化粧をしてきた子ども(担当した子どもの中で化粧をしてきた子どもが複数いた場合には、化粧をする頻度が最も高い子ども)の化粧の頻度を尋ねたところ、「頻繁にしてきた」6%、「時々してきた」32%、「1、2回してきた」52%であり、ほとんどの保育者が担当した子どもの化粧をする頻度はそれほど多くなかった。
化粧の内容を尋ねたところ、「口紅(色付きリップを含む)」(81%)が最も多く、チーク(29%)、アイシャドー(15%)が次いだ。
子どもがどのような時に化粧をしたのかを尋ねたところ(複数回答)、50%が「特に理由はわからない」と答えたが、「発表会などの園の行事の日」(23%)「子どもが自分用の化粧道具を買ってもらった後」(19%)が挙げられた。
3.幼児が化粧をすることに関する認識
幼児期の子どもが化粧をすることについて、どの程度、抵抗があるかについて「非常に抵抗がある」から「全く抵抗がない」までの5段階のリッカート尺度で尋ねた(数値が高いほど抵抗が強い)。保育者の年代(20代、30代、40代、50代、60代以上)によって抵抗感に違いが見られるかを確認したところ、有意な差が認められた(20代:M=3.74, SD=0.94, 30代:M=3.88, SD=0.93, 40代:M=4.32, SD=0.89, 50代:M=4.63, SD=0.73, 60代以上:M=4.88, SD=0.35, F(4, 333)=15.12, p<0.01)。残差分析をした結果、40代以上の保育者は、20代の保育者と比べて抵抗感が有意に強いこと、50代以上の保育者は30代以上の保育者よりも抵抗感が有意に強いことを確認した。つまり、保育者の年齢が高いと抵抗感がより強く表れると言える。
化粧に関する8つの意見のそれぞれについて、どの程度、賛成をするかを「非常に賛成する」から「非常に反対する」までの5段階のリッカート尺度で尋ねた(数値が高い方ほど賛成の程度が強い)。その結果、「子どもは化粧をしなくてもかわいいので化粧をする必要はない」(M=4.74, SD=0.62)「化粧品は子どもの皮膚や身体によくない」(M=4.39, SD=0.84)という認識が強く、「化粧をすることによって子どもが自信を持つことができるならば化粧をしてもよい」(M=2.23, SD=1.06)「化粧後に丁寧に落としてあげれば子どもに化粧をすることに問題はない」(M=2.09, SD=1.02)という意見には賛同しない傾向がみられた。
4.母親と保育者の化粧に関する認識の違い
幼児を持つ母親への調査結果(徳田ら,2017)と保育者への本調査の結果を比較し、幼児が化粧をすることに対する抵抗感に違いが見られるのかどうかを確かめたところ、統計的に有意な差が認められ(母親:M=3.72, SD=0.97, 保育者:M=4.03, SD=0.97, t(526)=3.52, p<0.01)、保育者の方が母親よりも抵抗感が強いことが確認された。また、幼児が化粧することに関する意見に母親と保育者の間に違いがあるかどうかを確かめたところ、保育者の方が「化粧品は子どもの皮膚や身体によくない」と強く認識する傾向がみられた(母親:M=4.23, 保育者:M=4.39, t(579)=2.31, p<0.05)。さらに、「子どもの身体に安全な化粧品ならば子どもに使わせてもよい」(母親:M= 2.74, 保育者:M=2.47, t(576)= 2.68, p<0.01)「化粧をすることによって子どもが自信を持つことができるならば化粧をしてもよい」(母親:M=2.49, 保育者:M=2.23, t(574)=2.61, p<0.01)といった化粧をすることをよいと考える意見について、保育者の方が保護者よりも反対する傾向がみられた。
一方、母親は「化粧をして幼稚園や保育所に行ってはいけない」(母親:M=4.74, 保育者:M=4.39, t(573)=4.24, p<0.01)といった規則を守ることについて、保育者よりも強く同意していた。
付記:本研究は平成27年度の公益財団法人コスメトロジー研究振興財団の助成を受けて行った。

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