発表

1A-088

キッズコスメに関する認識1 −保護者を対象にした質問紙調査の結果−

[責任発表者] 徳田 克己:1
[連名発表者] 水野 智美:1, [連名発表者] 西館 有沙:2
1:筑波大学, 2:富山大学

目 的
現代の幼児向け雑誌のなかには、化粧に関する話題が多く取り上げられ、付録として子ども用のコスメが付いていることは珍しいことではない。また、玩具店には様々な種類の子ども用のコスメが販売されている。さらに、テレビや雑誌などで、化粧をした子どもが映し出される機会も増えてきた。このような状況により、幼児にとってコスメが身近な物となり、化粧への憧れが強くなってきている。
そこで本研究では、幼児を持つ母親がキッズコスメに関してどのような認識を持っているのかを質問紙調査によって明らかにしたいと考えた。
方 法
1.調査対象者
埼玉県、茨城県、沖縄県で開催された幼児を持つ保護者を対象とした講演会(それぞれの県で1か所ずつ)に参加した母親380名を調査対象とし、242名から回答を得た(回収率64%)。そのうち、回答に不備のあるものを除き、228名の回答を分析対象とした。
2.調査手続き
任意による無記名自記式質問紙調査を行った。調査時期は2016年1月~3月であった。
結 果
1.調査対象者の属性
 調査対象者の年齢は20代3%、30代63%、40代32%、無回答2%であった。子どもの数は1名24%、2名52%、3名14%、4名以上2%、無回答8%であった。小学生以下の女児のいる家庭は61%であった。
2.子どもの化粧の経験
小学生以下の女児を持つ者(n=139)を対象に、子どもが幼児期に化粧をした経験があるかどうかを尋ねたところ、「ある」と答えた者は85%であり、大半を占めた。子どもが化粧をしたことがある者を対象に、子どもがはじめて化粧をしたのはいつかを尋ねたところ、3歳と答えた者が71%であり、その他の年齢ではごくわずかであった。子どもがはじめて化粧をしたきっかけを選択式で尋ねたところ、「発表会や七五三などの特別な日」と答えた者が92%であった。
また、子どもがどのような時に化粧をするかを尋ねたところ、「発表会や七五三などの特別な日」が多かったわけであるが、「家の中での遊び」と回答した者も19%いた。お出かけ(2%)や幼稚園、保育所にしていく(2%)子どもは非常に少なかったことから、特別な日以外は化粧をして外出することはほとんどなかった。
子どもが化粧をする頻度を尋ねたところ、1年に1~2日以下と答えた者が60%であり、1か月に1回以上化粧する子どもは10%のみであった。
子どもが化粧をしたことによって子どもにどのような問題が生じたかを尋ねたところ、「化粧品によって皮膚に異常が発生した」と答えた者が2%、「化粧が禁止されている場所(幼稚園や保育所など)に化粧をしていきたいと駄々をこねた」(2%)が挙げられたにすぎなかった。
3.幼児が化粧をすることに関する認識
 幼児期の子どもが化粧をすることについて、親がどの程度の心理的抵抗を感じるかを「非常に抵抗がある」から「全く抵抗がない」までの5段階のリッカート尺度で尋ねた(数値が高いほど抵抗が強い)。母親の年代(20代、30代、40代)によって抵抗感に違いがみられるかどうかについて分散分析を用いて確認したところ、有意な差は認められなかった(20代:M=3.40, SD=0.55、30代:M=3.75, SD=0.97、40代:M=3.60, SD=1.00, F(2, 178)=0.75, n.s.)。また、小学生以下の女児を持つ者のなかで、子どもが化粧をする頻度(1か月に1回以上化粧をする群、1か月に1回未満しか化粧をしない群、化粧をしたことがない群)によって、抵抗感に違いがみられるかどうかを分散分析によって確認したところ、有意な差が認められた(1か月に1回以上:M=2.50, SD=0.85、1か月に1回未満:M=3.82, SD=0.95、化粧経験なし:M=4.11, SD=0.69、F(2, 123)=12.21, p<0.01)。多重比較を行ったところ、1か月に1回未満の者と1か月に1回以上の者、化粧経験がない者と1か月に1回以上の者との間に、それぞれ有意な差が認められた。
化粧に関する8つの意見について、どの程度賛成をするかを「非常に賛成する」から「非常に反対する」までの5段階のリッカート尺度で尋ねた(数値が高いほど賛成の程度が高い)。その結果、「化粧をして幼稚園や保育所に行ってはいけない」(M=4.74, SD=0.82)と認識する傾向が強い一方で、「特別な日に化粧をするのは問題ない」とも考える傾向がみられた(M=4.57, SD=0.65)。
また、「子どもは化粧をしなくてもかわいいので化粧をする必要はない」(M=4.64, SD=0.78)と認識する傾向が強くあることに加えて、「子どもの身体に安全な化粧品ならば子どもに使わせてもよい」(M=2.74, SD= 1.10)、「子どもが喜ぶならば化粧をしてもよい」(M= 2.48, SD=1.02)という意見には反対であった。
これらのことから、子どもへの化粧については、保護者はあまり賛成していないと言えよう。

付記:本研究は平成27年度の公益財団法人コスメトロジー研究振興財団の助成を受けて行った。

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