発表

1A-076

児童の遊びにおけるルールの産出

[責任発表者] 藤田 文:1
1:大分県立芸術文化短期大学

目 的 集団遊びにおけるルールは、児童の仲間関係を調整する上 で重要な役割を果たしている(藤田,2015)。 ルールは、仲間 が対等平等の立場で楽しく遊ぶために取り決められた約束で ある。もともとその遊びに付随して決められているルールも あるが、力の強い者だけが一方的優位にならないようなハン ディキャップの設置など児童たち自身が創意・工夫しながら 産出するルールもある。また、遊びに対立が生じたり、つま らなくなったりしたら、仲間同士の自主的・民主的な話し合 いによりルールを変更したり、創造したりしていく。本研究 では、この過程をルールの産出と呼び、児童たち自身が産出 したルールに焦点を当てて検討していく。 まず、児童たちの自由遊び場面を観察し、その中で産出さ れたルールを抽出する。そして、児童たちのルール遊びにお けるルールの産出の理由を明らかにすることを目的とする。 また、事例を詳細に検討することで、ルールの産出が周りの 児童たちにどういう影響を与え、遊びがどのように展開して いくのか児童たちの仲間関係に与える影響も明らかにする。 方 法 観察対象者:小学校の育成クラブの児童 101 名(1 年生か ら 3 年生)の中から観察対象の遊びをしている児童。 手続き: 育成クラブを週 3 回、計 27 回訪問した。1 回の 訪問は 60~90 分程度であった。児童の自由遊びの中のルー ル遊びを参与観察法で調査した。ボイスレコーダーを用い て、遊び場面の発話を録音し、行動を音声記録した。 結果と考察 (1)ルールの産出の理由 録音された児童の発話と行動を分析し、ルールのある集団 遊びをしている場面を抽出した。その結果、集団遊びの 25 事例とルールの産出の 166 場面が見出された。古城ら(2007) を参考にして、ルールの産出場面を、産出した理由によって 14 種類に分類した(表 1)。 表 1 より、「身勝手」「確認」「人間関係」「面白くする」が
多かった。小学 3 年生までの遊びでは、自分の都合が良くな るように考える「身勝手」を理由としたルール産出が多いこ とが示された。遊び事例は「逃げる・捕まえる」遊びが多 く、ルール設定の自由度が高かった。そのため、ルールの産 出の理由も身勝手なものが多くなったと考えられる。 一方、「人間関係」や「面白くする」などの理由も多かっ た。身勝手な提案が多いということは、たくさんの意見や要 求が生じるということである。それらの声を活かし遊びを成 立させようとすることから、「人間関係」や「面白くする」 の理由も多くなったと考えられる。 (2)事例分析によるルールの産出の影響 ≪事例1身勝手ルール≫3 年生 11 名と観察者のけいどろだ った。3 年生の A 君が警察から当てられる寸前にバリアを使 えるというルールを産出した。A 君は自分が当てられないた めの身勝手な理由からルールを産出した。このルールの産出 で警察の B 君が感情的になり、どろぼうを強引に連れて行こ うとした。このように、身勝手な理由でルールが産出される と、そのルールは相手に受け入れられず、その結果、殴る・ 蹴る・引っ張るなどのいざこざが生じることが示された。 ≪事例2面白くするルール≫2、3 年生 8 名と指導員と観 察者のけいどろだった。C ちゃんが警察の人数が不足して広 い場所ではなかなか捕まらず面白くないと訴えたことに対し て、2 年生の D ちゃんが逃げる範囲を定めるルールを産出し た。場所を狭めて捕まえやすくすることで遊びがより面白く なるルールだった。D ちゃんは泥棒の立場だったが、警察の 立場も考え遊びがより面白くなるようにしたと考えられる。 このように、他人のことも考えたルールが産出されると、皆 が納得し、遊びがより継続的に展開されることが示された。 引用文献 藤田文.(2015).遊び場面における幼児の仲間との関係調整の 発達 風間書房 古城建一・川内敬介.(2007). 学童保育クラブにおける遊び の研究—大分大学教育福祉科学部研究紀要,71-86.

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